2002.02.08

【日本胃癌学会速報】 胃癌の罹患率は2007年以降に減少、「地域がん登録」研究班データから予測

 男性では微増、女性では横這いを続けている胃癌の罹患率が、2007年を境に減少に転じる−−。そんな将来予測が、2月7日の特別企画「ピロリ菌の夕べ」で報告された。報告を行ったのは、愛知医科大学公衆衛生学講座の菊地正悟氏。若年者でのヘリコバクター・ピロリ(H. ピロリ菌)感染率の低下に伴う胃癌発生の減少が、寿命の延びの影響を上回るという。

 菊地氏は、厚生労働省のがん研究助成「地域がん登録」研究班の公開データを分析。さらに、菊地氏らが調べた、職域における胃粘膜萎縮頻度やH. ピロリ菌感染率の同年齢層での比較結果を加味し、胃癌罹患率の将来予測を行った。

 まず菊地氏は、1975年から1996年にかけての胃癌罹患率の年次推移を男女別、年齢別で検討した。その結果、1.罹患数は男性でやや上昇、女性で横這い、2.男女とも罹患年齢が高齢化、3.年齢別では高齢で微増か横這いだが、20〜30歳代ではここ10年で罹患率が半減−−という特徴があることがわかった。

 次に菊地氏は、1989年と1996年に同一職域で調べた胃粘膜萎縮頻度やH. ピロリ菌感染率を、同年齢層で比較した。すると、同年齢層での頻度や感染率は、どの年齢層でも1996年調査の方が1989年調査よりも低く、「後に生まれた人ほど、前癌状態と考えられる胃粘膜萎縮を起こす割合や、胃癌の原因とされるH. ピロリ菌への感染率が低い」ことが明らかになった。

 以上から菊地氏は、2006年までの期間を「胃癌発生の高齢へのシフト期」、2007年以降を「胃癌発生の減少期」と予測。特に除菌療法を行わなくても、若い年代で既に観察されている、(H. ピロリ菌への感染率の低下による)胃癌発生の減少が高年齢層に波及し、寿命の延びの影響を凌駕した時点で胃癌発生が減少に転じるとの図式を示し、「胃癌発生の減少が本格化した年代では、減少率は年率6.7%となり、10年で胃癌発生が約半分になる」とまとめた。

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