2002.01.30

ミミズ酵素(その2) 用途特許を取得した健康食品、必ずしも臨床効果を保証せず

 ミミズを原料にした健康食品の公開特許広報を調べてみた。確かにそこにはマウスを用いた基礎研究とともに人を対象とした臨床研究結果が掲載されていた。

 血栓症治療剤として特許を取得した際のデータでは、ミミズ乾燥粉末を10人に投与している(1)。一人は健康な人、その他の9人は高血圧、高脂血症、深部静脈血栓症
など様々な病気を持っている。これらの人たちにミミズ乾燥粉末を25日間服用してもらい(450mg/日)、その間の血液中フィブリン分解産物(FDP)の変化を見ている。FDP値はそれぞれの症例で上がったり下がったりしており、一定の傾向が見られない(と私は思った)。

 しかし、文章中では症例ごとにいろいろ解説を加え、効果があったと結論付けている。プラセボなどの対照群も設定しておらず、統計学的に解析した形跡もない。これらのデータだけで血栓治療剤として効果があるといえるのだろうか。

 一方、糖尿病治療剤にて特許申請をしたデータには、アロキサンという薬剤で糖尿病を発症させたマウスの実験結果がある。アロキサンを投与すると膵臓のベータ細胞が障害され、その動物は糖尿病となるのだ。確かにこの実験結果を見るとアロキサン糖尿病マウスにミミズ乾燥粉末を投与すると(300mg/kg、人間に換算すると18g/60 kg)、対照群に比べて血糖が低下した。しかし、この効果はルンブロキナーゼの線溶作用と関係なさそうに思えるが・・・。

 さらに5人の糖尿病患者に6カ月間この健康食品を服用させ(450mg/日)、各食前食後の血糖値を見ている。確かに血糖値は低下しているようにも見えるが、同時に行った食事療法の効果も否定できない。しかも、人数が5人と少なすぎること、対照を設定していないこと、グリコヘモグロビンを測定していないことなど、臨床研究としてはデータが不十分である。

 健康食品であっても病気に効果があるという特許は取得可能である。これを用途特許という。健康食品の場合、その成分や抽出方法で特許をとってもすぐ他社から類似品が出てしまう。このため企業は、権利をより強固にするため、用途特許をとる場合があるのだそうだ。

 ただし、特許取得の際に重要視されることは新規発見であるかどうかだ。そこがわれわれの考えている臨床試験と異なるところである。したがって、上記のように臨床的にはきわめて不十分なデータであっても、特許取得という点においては問題ないのであろう。すなわち、たとえ用途特許を取得した健康食品であっても、必ずしもそのことが臨床効果を保証することにはならないのである。

■参考文献■
(1) 公開特許広報 平3−72427、公開 平成3年3月27日
(2) 公開特許広報 昭64−47718、公開 昭和64年2月22日

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