2002.01.29

【日本疫学会速報】 “わがままな”頭頚部癌患者は予後が良い?−エゴグラムの性格分析から

 頭頚部癌の患者の性格と予後の関係について調べたところ、“わがままな” 患者の方が予後は優れている−−。こうした解析結果を、神奈川県立がんセンターの岡本直幸氏らが1月25日、日本疫学会の一般口演で発表した。癌患者に対する精神的なケアが、予後を左右する可能性もありそうだ。

 今回、患者の性格分析には琉球大学版のエゴグラムを使用。エゴグラムはもともと米国の心理学者が考案した性格分析法で、「批判的親(Critical Parent)」、「養育的親(Nurturing Parent)」、「大人(Adult)」、「自由な子供(Free Child)」、「従順な子供(Adapted Child)」という五つの自我状態(心の領域)からなると仮定しており、これらの強弱が態度や行動に影響を与えるという。

 解析は、五つの心の領域の得点、性別、年齢、癌の進行度(ステージ)、喫煙状態を説明変数とし、比例ハザードモデルによって行った。対象の患者は1994年1月から1999年8月までの間に、同センター頭頚部外科に入院し治療を受けた癌患者137人(男性116人、女性21人)。2001年12月まで追跡しており、期間中に死亡した患者は75人だった。

 その結果、予後が有意に良かったのは、従順な子供の得点が低い(反抗的な性格)場合と、自由な子供の得点が高い(自由奔放な性格)場合だった(それぞれp=0.016、p=0.038)。また、ステージが進行していると、やはり予後は明らかに悪かった(p<0.001)。なお、ステージや喫煙状況で補正しても、性格と予後の間には関連が認められたという。

 これらを踏まえて、岡本氏は、「自由な子供の自我状態が低く、従順な子供の自我状態が高い場合には予後が悪いことが推測される。治療後の患者に対しては、心の持ち方に関する適切な介入が必要ではないか」との考えを示した。

■訂正■
自由な子供の得点が高い場合のp値は1.041ではなく、正しくは0.038でした。また、「ステージが低いと、やはり予後が明らかに悪かった」ではなく、正しくは「ステージが進行していると、やはり予後が明らかに悪かった」でした。お詫びして訂正します。

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