2002.01.27

【日本心療内科学会速報】 変わる精神分析療法、リビドー理解は欲動論から対象関係論に−−教育講演より

 1月26日に行われた教育講演1「精神分析と対象関係論」では、九州大学人間環境学研究院・医学研究院教授の北山修氏が登壇。精神分析理論において、人間の思考や行動に大きな影響を与えるとされるリビドー(本能衝動)を、「快楽の希求」ではなく「対象の希求」という視点で捉える「対象関係論」が、精神分析理論の主流となりつつあることを解説した。

 精神分析は、過去(乳幼児期)の体験に起源を持つ「無意識」(抑圧された意識)を意識化することで、神経症などの精神神経疾患を治療する精神療法。フロイト学派の古典的精神分析のほか、フロイト理論から派生した自我心理学、対象関係論、自己心理学の四つのグループがあるとされる。

 北山氏は、これらの理論のうち対象関係論について、母子関係を基軸とするリビドーの発達という観点から概説。母親が要求に応えてくれる時と応えてくれない時がある、つまり対象には両価性(アンビバレンツ)があり、欲求を満たしてくれる「良い対象」と満たしてくれない「悪い対象」が同一であることを受け入れる過程を通し、他者との関係性を築いていくことを示した。

 「世界を二つの対象に分けてしまい、同じ対象に向かって、相矛盾する感情を経験する」(北山氏)状態は、対象関係論では「妄想分裂ポジション」と呼ばれている。北山氏は、「『良い対象が欲しいのだけれど、悪い対象が不安で、その二つが一つであるために〇〇する』という公式をあてはめると、患者を対象関係論的に理解しやすくなる」と述べ、境界性人格障害など、妄想分裂ポジションにある患者の理解に役立てて欲しいとした。

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