2002.01.24

ACS患者へのGP2b/3a受容体拮抗薬、心イベント発症率で評価したメタ分析結果が発表される

 不安定狭心症や非Q波梗塞などの急性冠症候群(ACS)患者を対象とした、糖蛋白(GP)2b/3a受容体拮抗薬の大規模臨床試験6報に対するメタ分析が、Lancet誌1月19日号に掲載された。分析対象の臨床試験は、昨年12月にCirculation誌に掲載されたメタ分析と同じだが、有効性を死亡率ではなく心イベント発症率(死亡率+非致死性心筋梗塞)で評価した点が異なる。どちらの評価項目が「臨床的な有用性」を反映しているのかについても、今後議論が広がりそうだ。

 昨年発表されたメタ分析(関連トピックス参照)は、30日死亡率を1次評価項目として、対象患者を糖尿病合併者と非合併者に分けて解析したもの。糖尿病合併者では総死亡率の改善効果がみられたが、非合併者では投与群と非投与群の総死亡率に差がなく、「糖尿病を合併していないACS患者にはGP2b/3a受容体拮抗薬が有用ではない」ことを示唆する結果となっていた。

 今回発表されたメタ分析は、上述のメタ分析と同じく、六つの大規模臨床試験(「PRISM」「PRISM-PLUS」「PARAGON A」「PARAGON B」「PURSUIT」「GUSTO4-ACS」)を対象としたもの。ただし、1次評価項目を、総死亡と非致死性心筋梗塞とを併せた「心イベント発症率」として解析を行った。

 その結果、患者全体でみた場合、30日後の心イベント発症率はGP2b/3a受容体拮抗薬の投与群が10.8%、非投与群が11.8%で、投与群で9%有意に減少することがわかった(p=0.015)。合併症や既往症別の解析では、糖尿病も含め、疾患や病態の有無が薬の効果に有意な差をもたらしたものはなかった。

心イベント発症率に大きな男女差、病態の差異を反映か

 唯一差があったのは、GP2b/3a受容体拮抗薬の効果を男女別にみた場合だ。男性では、GP2b/3a受容体拮抗薬投与群の心イベント発症率は非投与群の0.81倍。一方の女性では1.15倍で、薬を投与した人の方が心イベントの発症率が有意に高かった(男女差のp<0.0001)。

 ところが、メタ分析の対象患者のうち、臨床試験開始時に心筋梗塞のマーカーであるトロポニンを測定した人を抽出して解析すると、当初みられた「薬効の男女差」はなくなった。トロポニンの測定率は臨床試験により大きな差があり、「GUSTO4-ACS」(使用したGP2b/3a受容体拮抗薬:アブシクシマブ)では91%の患者でデータが得られていたのに対し、「PURSUIT」(同:エプチフィバチド)では4%だった。

 研究グループはこの点について、「PURSUIT試験そのものでも効果の男女差が認められているが、血小板機能やエプチフィバチドへの反応に男女差はないと報告されている」と指摘。1.ACS患者には、発症に血小板凝集が関与している(トロポニン値が高い)群と、血小板凝集とは無関係に発症する(トロポニン値が低い)群がある、2.男性には前者、女性には後者が比較的多い−−と解釈するのが妥当だとした。

 この解釈を踏まえ、研究グループは「男女を問わず、トロポニン値が高い冠動脈疾患患者へのGP2b/3a受容体拮抗薬の有用性が実証されている以上、ACS患者への治療戦略に男女差を設けるのは現時点では勧められない」と強調している。

 この論文のタイトルは、「Platelet glycoprotein IIb/IIIa inhibitors in acute coronary syndromes: a meta-analysis of all major randomised clinical trials」。現在、全文をこちらで閲覧できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

■ 関連トピックス ■
◆ 2001.12.6 GP2b/3a受容体拮抗薬でACS患者の死亡率は下がるか、6臨床試験のメタ分析結果が発表

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