2001.12.14

【日本免疫学会速報】 抗IL6r抗体の腸炎抑制効果、動物モデルで解明

 炎症性腸疾患のクローン病や慢性関節リウマチなどの治療薬として開発が進められている、インターロイキン6(IL6)受容体抗体(抗IL6r抗体)の作用機序が、疾患モデル動物を使った研究で解明された。鍵を握るのはT細胞で、クローン病のモデルマウスに抗IL6抗体を投与すると、T細胞の増殖や腸管への遊走が抑制され、腸管内に浸潤したT細胞に対するアポトーシス(細胞死)も誘導されたという。研究結果は、大阪大学大学院分子病態内科の伊藤裕章氏らが、12月13日に行われたワークショップ21「粘膜免疫」で発表した。

 IL6は、B細胞・T細胞の分化や、肝臓細胞を介したC反応性蛋白(CRP)などの急性期蛋白の発現など、多様な作用を持つサイトカイン。IL6と膜型のIL6受容体(IL6r)や可溶性IL6r(sIL6r)とが結合してできた複合体が、膜型の糖蛋白130(gp130)と結合することで作用を発揮する。伊藤氏らは、T細胞を移入して実験的に腸炎を発症させたマウスに、マウスのIL6rに対するラット抗体またはラットの免疫グロブリンG(IgG)を投与し、炎症に対する作用を比較した。

 その結果、ラットのIgGを投与した腸炎マウス(対照群)では、体重の減少や下痢などの臨床症状がみられ、組織学的にも腸炎を起こしていることが確認された。一方、抗IL6r抗体を投与した腸炎マウス(抗IL6r抗体群)では、上述の臨床症状や組織学的腸炎が大幅に抑制された。

 T細胞に関しては、脾臓や腸間膜リンパ節でCD4陽性T細胞数が減少しており、T細胞の増殖が抑えられていることが判明。T細胞が血管内皮細胞に集積する「目印」として働く、細胞間接着分子1(ICAM1)や血管細胞接着分子1(VCAM1)の発現も抑制されており、炎症部位へのT細胞の“動員”にも抗IL6r抗体がブレーキをかけていることがわかった。さらに、腸管のCD4陽性T細胞やマクロファージの数も激減しており、T細胞のアポトーシスが亢進していることが明らかになったという。

 以上から伊藤氏は、「IL6は活性化したT細胞が生き延びるのに必須の分子であり、抗Il6r抗体は、T細胞の増殖・動員を抑制しアポトーシスを促進することで腸炎の発症を止める」と考察。ヒト化した抗IL6r抗体を用い、クローン病患者を対象とした二重盲検試験を今春から行っており、期待の持てる結果が出そうだと述べた。

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