2001.12.12

【日本免疫学会速報】 PPARγのリガンド、慢性関節リウマチの有力な治療薬候補に

 京都府立医科大学第一内科の川人豊氏らは、プロスタグランジンJ2とチアゾリジン誘導体が、共通の作用機序で強い抗炎症作用を発揮することを明らかにした。いずれも、PPAR(ペルオキシゾーム増殖促進受容体)γ(ガンマ)に結合して抗炎症作用を示すほか、アラキドン酸カスケードを制御する作用もあり、疾患モデル動物への投与で滑膜の増殖や関節破壊の抑制効果も確認できたという。川人氏らはこの研究結果を、12月11日のワークショップ3「慢性関節リウマチ」で報告した。

 PPARγは、脂質代謝や骨代謝、血管新生など様々な生理反応を制御する核内受容体。川人氏らは、脂質代謝作用のほか抗炎症作用や抗腫瘍活性が報告されている、内因性プロスタグランジンの15−デオキシ−デルタ12,14プロスタグランジンJ2(15d-PGJ2)とチアゾリジン誘導体のトログリタゾンが、いずれもPPARγのリガンドである点に着目。慢性関節リウマチ(RA)の関節炎に対するPPARγの関与を検討した。

 川人氏らはまず、RA患者の関節組織を免疫染色し、PPARγが発現しているかどうかを調べた。すると、患者の滑膜細胞や血管内皮細胞、炎症性マクロファージで、PPARγが強く発現していることがわかった。次にRA患者の滑膜細胞を培養し、そこにPPARγのリガンドである15d-PGJ2やトログリタゾンを添加すると、培養細胞が死滅(アポトーシス)することが判明した。

 そこで川人氏らは、完全フロイントアジュバント(complete Freund's adjuvant;CFA)をラットに投与して、関節炎のモデル動物を作製。15d-PGJ2やトログリタゾンが、このアジュバント誘発関節炎(AIA)にどのような作用を及ぼすかを調べた。

 その結果、両薬ともAIAに対する強い抗炎症作用を示し、滑膜増殖や関節破壊を抑制することが明らかになった。ただし、その作用は、同濃度では15d-PGJ2の方が強かった。

 さらに、アラキドン酸カスケードに対する両薬の作用を調べたところ、抗PPARγ抗体の共存下、つまりPPARγを介さずに、15d-PGJ2はアラキドン酸カスケードのうちシクロオキシゲナーゼ(COX)経路の抑制作用、トログリタゾンは5−リポオキシゲナーゼ(LO)経路の抑制作用を示すことがわかった。

 以上から川人氏らは、15d-PGJ2とトログリタゾンは、PPARγとアラキドン酸カスケードの両者を制御することで強い抗炎症作用を示すと結論。新たなRA治療薬としての可能性が示唆されたとした。ただし、トログリタゾンについては、関節炎の抑制効果を示すために15d-PGJ2の100倍量が必要であり、副作用としてインスリン感受性の低下が懸念されるため、川人氏は「薬剤としては次世代のチアゾリジン誘導体が必要」と述べた。

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