2001.11.08

【日本救急医学会速報】 首をひねって血管が裂ける−−こんな“ゴルフ頭痛”にご用心

 ドライバーで気持ちよく球を打った瞬間、ヘッドを頭にぶつけたわけでもないのに、後頭部に激痛。頭痛はその後何日も続き、次第にめまいや吐き気、ふらつきが現れる−−。こんな珍しい「ゴルフ頭痛」が、11月8日の要望演題で報告された。原因は、首を急にひねったことによる椎骨動脈の解離。ゴルフによるけがの大半は、筋や骨、関節を痛めるものだが、不適切なスイングから首の血管を痛めることもあるようだ。

 この症例を報告したのは、国立仙台病院脳卒中センター脳神経外科の西野晶子氏、桜井芳明氏ら。西野氏らは1998〜2000年の2年間で4人、ゴルフ後に激しい頭痛やめまい、ふらつきを訴え、「脳卒中ではないか」と救急外来を受診した患者を経験した。

 4人のうち3人は30歳代、一人は50歳代で、50歳代の患者に高血圧と糖尿病がある以外、特に持病はない。共通していたのは、全員がいわゆるハードヒッター(飛ばし屋)で、ドライバーまたは5番アイアンで球を打った直後から症状が出ていたこと。また、ハンデは推定20〜36と、プロ級とまではいえない腕前だったという。

 最初に現れた症状は、スイングと同時に突然、後頭部に激痛が走るというもの。その後も頭痛が続き、意識ははっきりしていたものの、翌日〜2週間後に頭痛やめまいが強くなり、うち二人は運動麻痺が出現していた。

 西野氏らが脳血管造影を行ったところ、4人中3人で、左の椎骨動脈に狭窄や拡張がみられ、椎骨動脈の解離が強く疑われた。磁気共鳴イメージング(MRI)では、4人中3人で運動機能を司る小脳や延髄に梗塞が認められた。安静を指示し、血圧を厳重にコントロールしたところ、3週間で全員が回復して退院できたという。

 西野氏によると、スイング直後の後頭部の激痛は、恐らく血管の内膜が裂けた痛みで、その後何日も痛みが続くのは、徐々に裂け目が広がるためではないかという。椎骨動脈は小脳などへ栄養を供給しており、「動脈が徐々に解離して血液が十分行き渡らなくなったため、めまいやふらつきなどの運動障害が進行性に現れたのではないか」(西野氏)と推測する。

 どのようなスイングが椎骨動脈解離を引き起こすかは不明だが、アマチュアゴルファーに多い「球を打った直後に首を急にひねり、球の方向を見る動き」が原因ではないかと桜井氏はみているという。発表後の質疑応答でも、「急に振り向いた拍子に椎骨動脈が解離した」「カイロプラクティックで施術者に首を左右にひねられた後、椎骨動脈が解離した」などの症例経験がフロアから寄せられた。少なくともゴルフでは、「首をしっかり止めてスイングする」との基本動作の習得が、こうした外傷を防ぐためには欠かせないことのようだ。

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