2001.11.08

【日本救急医学会速報】 インフルエンザ脳炎・脳症、成人にも発症か

 11月7日のポスターセッションで、インフルエンザウイルスへの感染がきっかけとなり、急性の神経障害を呈したと考えられる成人症例が報告された。インフルエンザ脳炎・脳症は、わが国で小児例が多数報告されているが、成人例は初めて。原因不明の髄膜炎や脳症では、たとえ成人でも、今後はインフルエンザ脳炎・脳症も鑑別診断に入れる必要がありそうだ。

 この報告を行ったのは、東京女子医科大学第2病院救命救急センターの古賀正義氏ら。古賀氏らは、1999〜2000年のインフルエンザ流行期に、インフルエンザ脳炎・脳症が強く疑われる成人2症例(20歳代と30歳代)を経験。二人とも感冒様の症状で発症し、発熱から0〜2日後に全身痙攣や意識障害などの神経症状が発現。最終的には多臓器不全で死亡した。

 うち一人は、A香港型(H3N2)インフルエンザウイルスの抗体価が基準値の16倍、もう一人はB型の抗体価が64倍に上昇していた。剖検でも、脳浮腫や間質性肺炎、微小血栓など、小児で報告されているインフルエンザ脳炎・脳症と類似する所見が認められたという。

 古賀氏は「臨床経過や剖検所見は小児例と一致しており、成人でも小児と同じ機序でインフルエンザ脳炎・脳症を発症しうると考えられる」と強調。ただし、昨シーズンはこうした症例は経験しておらず、小児に比べると成人発症は極めてまれとみられることや、インフルエンザ脳炎・脳症の罹患に人種差がある(日本でしか報告されていない)ことから、「発症には何らかの宿主側の因子が関与している可能性が高い」と述べ、発症の予防や治療に向けた宿主側因子の検索が課題だとした。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 2018年度ダブル改定で「看取り」の解釈が拡大 記者の眼 FBシェア数:192
  2. 「2025年」大予測! 医療改革は成功?失敗? 日経ヘルスケアon the web FBシェア数:2
  3. 神になりたかった男 徳田虎雄 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:224
  4. 民間の医療保険? そんなの入る必要ありません Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:18
  5. 「20年目に給与1500万円」が目安? Cadetto Special●医者の値段 2017 FBシェア数:1
  6. 主訴<腰痛>での救急搬送で見逃せない疾患は? 患者到着前から始まるエマージェンシー臨床推論 FBシェア数:16
  7. 他界した弟に導かれて医師の道へ 人物ルポ■奄美群島の産婦人科医療に挑む小田切幸平氏 FBシェア数:113
  8. 外傷性気胸に胸腔ドレナージは要らない? Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ FBシェア数:80
  9. 胸部や腹部のCT検査が腎切除術を増やす JAMA Intern Med誌から FBシェア数:72
  10. レビー小体型認知症の診断、改訂ポイントは? プライマリケア医のための認知症診療講座 FBシェア数:59
医師と医学研究者におすすめの英文校正