2001.11.05

【日本公衆衛生学会速報】 性感染症患者にHIV検査を受けるよう指導する医師は少数

 性感染症(STI)と診断した患者に対してエイズウイルス(HIV)検査を薦めている医師は多くなく、実際に検査を受けた患者も少ない−−。これはSTI患者を診断した医師へのアンケート結果に基づくもので、岡山市保健所の中瀬克己氏らが11月1日、この調査結果を一般演題「感染症」で発表した。医師に対して、HIV検査の受検を患者に勧めるように呼びかける必要もありそうだ。

 中瀬氏らは、岡山市内で泌尿器科、皮膚科、産婦人科を標榜している全医療機関138施設を対象にアンケート調査を実施し、回答が得られた118施設(85.5%)のデータを集計した。対象期間は2001年1月29日から3月4日まで。STI患者については、医療機関の医師に調査への協力を依頼してもらい、アンケート用紙を郵送で回収した。回答が得られたのは315人中158人(50.2%)。

 調査期間中にSTI患者を一人以上診断した医師にHIV検査を勧奨しているかどうか尋ねたところ、「すべての患者に勧奨している」と答えた医師が15%、「ほとんど勧奨していない」と答えた医師が56%だった。また、STI患者のうち、HIV抗体検査を受けた経験があるのは15人に過ぎず、さらに1年以内に限定すると10人に減少する。回答者にやや偏りはみられるものの、性感染症患者のHIV検査受検率が非常に低いため、中瀬氏は、「HIV罹患率が低く評価されている可能性があるのではないか」と危惧する。

 コンドーム使用の指導に関しては、全員に指導している医師は全体の52%、ほとんどしていない医師が同29%だった。また、STI患者にコンドーム使用について質問したところ、「まったく使っていない」と「半分以上使っていない」を合わせると63%と、半数を超えていた。

 中瀬氏が医師からのアンケート結果を基に推計すると、岡山市における推定STI患者数は2616人であり、その44.4%がコンドーム使用を医師から指導されておらず、同じく82.1%がHIV検査を受けるよう指導されていないことになるという。そのため、「STI予防とHIV検査案内のパンフレットを医療機関で渡してもらうことと、岡山性感染症研究会によるSTI診断治療ガイドラインを病医院に配布することを現在検討している」と、行政としての対応策を述べた。

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