2001.11.02

【日本公衆衛生学会速報】 腸管出血性大腸菌の発現に病原性関連遺伝子eaeAが関与の可能性

 O157などに代表される腸管出血性大腸菌(EHEC)は健常者からも検出されるため、感染症対策の必要性を判断する上で課題となっている。健常者由来のEHECの病原性発現などについてはこれまで明らかになっていなかったが、病原性の発現に病原性関連遺伝子の一つであるeaeAが深く関与している可能性が示された。石川県保健環境センターの倉本早苗氏らが、健常者由来の腸管出血性大腸菌と患者由来のそれを比較検討した結果わかった。11月1日の一般演題「感染症」で報告された。

 そもそものきっかけは、給食調理従事者など健常者の定期検便から、EHECを約0.02%の割合で分離していたこと。倉本氏らは1996年8月から2001年8月までに分離できたEHECを、健常者由来EHEC(健常者群)70株と患者由来・患者接触者由来のEHEC(患者群)84株の2群に分けて、病原性関連遺伝子であるeaeA、bfpA、aggR、astAの検出、生化学性状試験などを行った。

 両群を比較したところ、大きな相違点としてeaeA保有の有無が挙げられた。健常者群ではeaeAを保有していたのは 32.9%に過ぎなかったが、患者群では100%が保有という結果だった。また、O157とO26は由来によらず全株がeaeAを持っており、健常者群において、O157とO26以外のEHECでeaeAを保有していたのは57株中10株(17.5%)と少なかった。

 なお、astAについては、一部の株は保有していたものの由来による相違はみられず、aggRとbfpAについては、すべてのEHECから検出されなかった。生化学性状検査も特に両群に差はなかった。

 倉本氏は、こうした結果を踏まえて、「eaeAがEHECの病原性発現に深く関与していることが示唆され、一方、eaeA非保有株が病原性を発現させる可能性は低いのではないか」との見解を示し、「今後、両群の傾向について分析をさらに進め、動物実験などで検証していきたい」と語った。

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