2001.11.02

【日本公衆衛生学会速報】 禁煙により1年余命を伸ばすのに必要な費用は一人当たり4〜5万円

 禁煙してもらうのに費用がどのくらいかかるのか、投資に見合う効果が得られるのか−−。禁煙指導の方法論については数多くの発表がなされているが、費用に関する報告はあまりない。国際医療福祉大学医療経営管理学科の田村誠氏らは11月1日、禁煙プログラムの費用対効果の試算結果を一般演題「健康教育」で発表した。健康診断の際に禁煙指導する場合を想定し、指導に要した時間や物品費などの実績データを基に算出している。

 田村氏らは費用対効果を、禁煙を決意した人を対象に禁煙指導の経験が豊かなスタッフが介入する指導群と、禁煙のための冊子を配布するだけの対照群を比較して、参加者一人の余命を1年伸ばすのに必要な費用という形で評価した。つまり、指導群と対照群の予想平均余命の差を指導に要した費用で割って、一人の余命を1年伸ばすための費用を計算する。

 平均余命については、禁煙指導に詳しい大阪府立健康科学センターの中村正和氏らが開発した健康危険度評価システムにもとづいて算出。その結果、40歳男性だと2.1年、50歳男性だと2.0年、60歳男性だと1.8年ずつ伸びるという。一方、指導に要した費用は、指導群と対照群がそれぞれ100人ずついると仮定すると、禁煙指導や準備、フォローアップなどに要した人件費と呼気一酸化炭素(CO)濃度測定器や消耗品費などを合わせて、246万1230円となる。

 なお、人件費の試算の際に使った指導などに要した時間は、中村氏らがこれまで実施してきた禁煙プログラムでの実測値による。この禁煙プログラムは、多くの喫煙者に働きかけが可能な検診の際に行うのが特徴で、呼気CO濃度などの結果を用いて禁煙指導を行い、電話によるフォローアップなどを行うものだ。

 指導群における禁煙成功率(1年後の時点で6カ月以上禁煙が続いていた割合)を30%、対照群は0%で計算すると、一人1年余命を伸ばすのに必要な費用は、40歳男性だと3万9067円、50歳男性だと4万1020円、60歳男性だと4万5578円だった。ただし、禁煙成功率が30%という数値は、禁煙指導に熟達したスタッフによるもので高いといえる。

 そこで、禁煙成功率を20%に下げて計算してみると、40歳男性だと5万8600円、50歳男性だと6万1531円、60歳男性だと6万8368円。さらに10%まで下げると、40歳から順に11万7201円、12万3062円、13万6735円となる。いずれにしろ、検診の場で実施する禁煙プログラムであるため、費用は抑えられるようだ。

 田村氏は、「試算に用いた数値は、禁煙指導の専門家らが参加者25人を対象に実施した時のものである点に留意する必要がある」と述べた。

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