2001.11.01

【日本アレルギー学会速報】 日本人の気管支喘息、全ゲノム解析の進捗状況が報告

 昨年完了したヒトゲノムの“粗い全文解読”(ドラフト・シーケンス)を受け、次のターゲットとなる疾患感受性遺伝子の同定に向けて、各国の研究者や企業がしのぎを削っている。東京大学大学院医学研究科・筑波大学基礎医学系遺伝医学の野口恵美子氏は、シンポジウム15「アレルギーと遺伝要因」で、いよいよ最終局面を迎えた喘息遺伝子の同定について、現時点での進捗状況を報告した。

 気管支喘息が家族内で集積する、つまり遺伝することは350年以上前から知られていた。しかし、発症には複数の遺伝子が関与しており、環境との相互作用もあるため、原因遺伝子の同定には「全ゲノムを対象とした連鎖解析」が必要となる。野口氏らは、1996年から小児喘息患者とその家族に研究への協力を依頼。集まった153家系のうち、ダニに対して高い免疫グロブリンE(IgE)応答性(RASTスコアが3以上)を持つ小児喘息の47家系197人の全ゲノムを解析し、ダニ感受性喘息と関連が強い染色体上の領域を7カ所見出した。

 次に野口氏らは、これらの領域について、別のダニ感受性喘息患者24人を対象に遺伝子変異を検索。検出された変異のうち、頻度の高いもの(10%以上)を選び、さらに別のダニ感受性喘息患者とその両親の遺伝子を解析(関連解析;TDT)して遺伝子型を調べた。

 現在までに、第4、5、6番染色体上に1カ所ずつ、12、13番染色体上に2カ所ずつの計7カ所の連鎖領域がわかっているが、野口氏はそのうち第5、6、13番染色体に対する検索結果を報告。5番染色体ではインターロイキン12遺伝子、6番染色体ではヒト白血球抗原(HLA)遺伝子や腫瘍壊死因子(TNF)遺伝子、13番染色体ではロイコトリエン受容体遺伝子などに関する多型を見出した。しかし、残念ながらいずれも関連が弱く、「喘息の遺伝子を見つけたとは言えない現状」(野口氏)だという。野口氏は「今後も同様の検索を続け、日本人のダニ感受性喘息に対する疾患感受性遺伝子を同定したい」と結んだ。

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