2001.11.01

【日本アレルギー学会速報】 評価系の改変とDDSで“忘れ去られた薬”の再評価を−−教育講演より

 10月31日に行われた教育講演10「アレルギー疾患治療薬の展望」では、東邦大学佐倉病院内科の冨岡玖夫氏が、アレルギー疾患治療薬の開発の歴史と現状を概説した。冨岡氏は満場の列席者に向け、これまでの歩みを振り返り未来を考える“彰往考來”の精神で、「新薬の開発や“忘れ去られた薬”の再評価に取り組んで欲しい」と訴えた。

 冨岡氏は冒頭、財団法人日本アレルギー協会が6年前に制定した「アレルギーの日」(2月20日)を紹介した。これは、米国La Jollaアレルギー免疫研究所名誉所長の石坂公成氏の業績を記念するもの。1966年に米国Colorado大学准教授だった石坂氏が、免疫グロブリンE(IgE)を発見し、米国の学会で報告した日にちなんだもの。

 このIgEの発見以来、気管支喘息やアトピー性皮膚炎など、IgEを起因抗体とする「1型アレルギー」の研究は急速に進展した。同時に、抗アレルギー薬の開発も進み、ヒスタミンの遊離抑制作用を持つクロモグリク酸ナトリウム(DSCO)を皮切りに数々の作用機序を持つものが上市されたという。

 こうした歴史的な流れを紹介した後、冨岡氏は現在市販されている25種類の抗アレルギー薬の特徴を、作用機序に基づく分類別に紹介。なかでも気管支喘息に適応を持つ抗アレルギー薬について、喘息の病型(アトピー型か非アトピー型か)や重症度(軽症間欠型〜重症持続型の4段階)別に臨床成績を整理し、どのような病態に適するかを簡潔な形で示した。

 気管支喘息の治療薬として用いられる抗アレルギー薬は、喘息の長期管理薬(コントローラー)と位置付けられている。冨岡氏は、1.メディエーター遊離抑制薬、2.ヒスタミン拮抗薬、3.トロンボキサン阻害薬、4.抗ロイコトリエン薬、5.2型ヘルパーT細胞(Th2)阻害薬−−の5分類のうち、前2者と後3者とで、適応には微妙な違いがあることを示した。

 具体的には、前2者は小児に多いアトピー性喘息の、軽症間欠型〜軽症持続型(ステップ1〜2)のものが適応と考えられる。一方、比較的新薬の多い後3者は、アトピー性、非アトピー性を問わず、軽症間欠型〜中等症持続型(ステップ1〜3)の喘息が適応となるという。

 ただし、現存する抗アレルギー薬は、大半が気管支喘息の対症療法に留まっており、アレルゲンからの回避や抗原認識過程への介入、免疫調節・抑制など、「より原因療法に近い抗アレルギー薬の開発が必要」(冨岡氏)と強調。併せて、過去にラットやマウス細胞を用いた評価系で「効果が少ない」とされた薬をヒト肥満細胞を用いて再検討したり、全身投与では使いにくかった薬を、吸入器具を含めたドラッグ・デリバリー・システムの開発などで生き返らせるなど、“忘れ去られた薬”の再評価も欠かせないと述べた。

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