2001.10.31

【日本アレルギー学会速報】 アトピー性皮膚炎治療ガイドライン、厚労省改訂版はシンプルな重症度分類を採用

 県立広島病院皮膚科の高路修氏は、10月30日に開催されたシンポジウム9「アトピー性皮膚炎の治療」で、厚生省(現・厚生労働省)研究班が1999年に作成、今年4月に改訂版を発表した「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2001」の概要を解説。1999年版との相違点の紹介を通し、今後の展望を示した。

 わが国のアトピー性皮膚炎治療ガイドラインには、厚労省版のほか、日本皮膚科学会が2000年に発表したガイドラインがある。前者は一般医向け、後者は専門医向けに作られたが、いずれも「わが国で同皮膚炎の治療に混乱が生じていたことが作成の契機となった」(高路氏)という。

 厚生省版の発行後、研究班は日本アレルギー学会員などのアレルギー専門医に対し、アンケートを実施。様々な意見が寄せられたが、なかでも要望が多かった重症度分類と治療薬の選択について、改訂版に意見を盛り込んだ。

 旧ガイドラインと新ガイドラインの主な相違点は、まず、旧版よりもシンプルな「重症度のめやす」を示したこと。軽症〜最重症の4段階の判定に、「強い炎症を伴う皮疹」の体表面積比のみを採用。「軽度の皮疹」と「強い炎症を伴う皮疹」の例を写真で示し、専門医以外でも判断しやすいようにした。

 治療に関しては、日本皮膚科学会のガイドラインと同様にステロイド外用薬が基本に据えられているが、今回の改訂版で、1.顔面にはなるべく使用しない、2.長期使用後の中止では皮疹が急に増悪する(リバウンド)ことがあるので、医師の指示に従うよう指導する、3.強度と使用量をモニターするよう習慣付ける−−の3点が注記された。

 また、今回の改訂では、1999年に発売された非ステロイド系免疫抑制薬のタクロリムス外用薬(商品名:プロトピック軟膏)が、アトピー性皮膚炎治療薬の一つとして紹介された。付記として、16歳以上のアトピー性皮膚炎患者の、特に顔面の皮疹に有用だが、ガイダンスに則って慎重に使用する旨が記されている。今後新しい治療法が開発され、有用性が明らかにされれば、順次ガイドラインに追加される旨も明記された。

 さらに、治療の基本として「患者には治療に関する情報を十分に伝え、良好なパートナーシップを構築する」との一文が加えられ、良好な医師‐患者関係が治療の根幹を成すものと位置付けられた。このほか、原因・悪化因子として、今回初めて「発汗」が小児・成人ともに加えられている。こうした相違点を紹介した後、高路氏は「今後は総論としての現ガイドラインに則り、悪化因子やステロイド治療などに関する各論の作成を進め、2年以内に発表したい」と結んだ。

 なお、厚労省ガイドラインの全文は、主任研究者である九州大学皮膚科の古江増隆氏が所属する、九州大学ホームページの「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2001」に掲載されている。

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