2001.10.29

【再掲】【日本高血圧学会速報】 ニフェジピン舌下投与の中止勧告、「知らない」医師が8割

 米国や日本の高血圧治療ガイドライン(JSH2000)では、短時間作用型カルシウム(Ca)拮抗薬のニフェジピン(商品名:アダラートなど)の舌下投与が「望ましくない」とされているが、大半の医師がこの勧告を知らない恐れがあることが明らかになった。

 これは、鳥取大学第一内科の太田原顕氏らが、同大学附属病院の在籍医師307人を対象に行った調査によるもの。アンケート回収率は60%(184人)とやや少ないが、回答者のうち勧告を知っていたのは17.7%に過ぎず、少なくとも中止勧告が「周知の事実」ではないことは確かなようだ。調査結果は、10月27日のポスターセッションで報告された。

 ニフェジピンの舌下投与は、拡張期血圧が120mmHg以上に突然上昇し、眼底出血や激しい頭痛などの症状がみられる「高血圧クリーゼ」などに対する緊急処置として、広く行われてきた投与法。しかし、まれに急激な血圧降下や反射性の頻脈などを引き起こすことがあり、投与量が“さじ加減”で左右される不確実性も相まって、現在では「原則として用いない」(JSH2000)とされている。

 太田原氏らは、JSH2000の発表後も、依然として臨床現場でニフェジピン舌下投与が行われている点に着目。院内医師を対象に無記名選択方式のアンケートを行い、ここ1年での舌下投与回数と、ニフェジピン舌下投与や高血圧緊急症に対する知識などを調べた。

 その結果、1年間にニフェジピン舌下投与を行った回数は、内科系医師(93人)が平均1.92回。外科系医師(91人)は3.70回と、内科系医師よりも多い傾向があった(有意差なし)。また、ニフェジピンは腸管で吸収されるため、経口でも舌下でも吸収速度は変わらないが、ニトログリセリンからの類推か、6割強の回答者は「経口摂取よりも舌下投与の方が早く吸収される」と誤解していた。さらに、回答者のうち8人は、ニフェジピンを舌下投与後、患者の容態が悪化した経験を持っていた。

 ただし、ニフェジピンの中止勧告を知っている医師と知らない医師との間で、1年間にニフェジピン舌下投与を行った回数に違いはみられない。このことは、中止勧告が医師の行動には変化を及ぼしていないことを示唆している。発表後の質疑応答でも、「設備の整った大学病院ならともかく、診療所では舌下投与に代わる対処法は無い」「舌下投与の意義を理解した医師が、リスクに配慮して行う分には構わないのでは」との意見が出された。

 こうした意見に対し、太田原氏は「中止勧告が出されていることを、理由も含めて循環器専門医以外にも広く知ってもらい、その上で代替手段や標準的な舌下投与法について検討を進めるべきではないか」と提言。まずは今回の調査結果を院内にフィードバックし、知識の啓蒙に努めたいとした。

■訂正■
発表者の大田原氏のお名前が間違っておりました。正しくは「太田原」氏です。お詫びして訂正致します。

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 MedWaveは日本高血圧学会の開催を機に、「高血圧治療に関する調査」を実施します。医療現場の第一線で活躍されている先生方に、高血圧治療の方法や考え方、降圧薬の処方経験、高血圧治療に関する情報ニーズなどをお伺いし、高血圧治療の実態を明らかにすることを目的としております。調査結果は後日、MedWave上で紹介する予定です。
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