2001.10.28

【日本高血圧学会速報】 IT技術を活用した高血圧大規模臨床試験「HOMED-BP」、参加医師数が350人に

 東北大学大学院臨床薬学教授の今井潤氏らが中心となり、来年1月から本試験をスタートする多施設共同研究「HOMED-BP」の参加医師数が、9月末時点で約350人になったことが明らかになった。参加意思を表明している医師を含めると850人に達するという。この臨床試験の特徴の一つは、各地の開業医や勤務医が、インターネットを利用して試験に参加できること。情報通信(IT)技術を活用した新しい形の臨床研究は、順調なスタートを切ったようだ。

 「HOMED-BP」は、40〜80歳の軽症〜中等症高血圧患者を対象に、降圧薬や降圧目標値の違いによる治療効果の差異を検証する無作為割付オープン(非盲検化)試験。効果の違いを検証する降圧薬には、わが国で高血圧治療によく使われる3系統の降圧薬(カルシウム(Ca)拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシン2(A2)受容体拮抗薬)を採用した。予定登録患者数は9000人と大規模なもので、追跡期間は7年間を予定している。

 血圧の管理基準として家庭血圧を採用し、家庭血圧における降圧目標値の決定を目的としている点も、この臨床試験の大きな特徴だ。患者の登録条件は、外来血圧ではなく、家庭血圧で135/85mmHg〜180/120mmHgとしている。降圧目標値も同様に、家庭血圧で125〜135/80〜85mmHgとする“消極的治療”と、125/80mmHg未満とする“積極的治療”の二つを設定し、長期的な合併症予防効果を調べる。

 この種の大規模臨床試験の多くが、大学などの専門的な医療機関を受診する患者を対象としているのに対し、「HOMED-BP」では地域の開業医や勤務医に積極的な参加を呼びかけている。専門的な医療機関ではなく、地域の診療所などで普通に行われる降圧治療の範囲で、第一選択薬や降圧目標値の違いが患者の予後にどのような影響を及ぼすかを調べるためだ。

 こうした試験設計を可能にしたのが、近年のIT技術の進歩。各地の参加医師には、専用の外来血圧計と、登録患者の人数分の家庭血圧計が配布される。患者が家庭で測定した血圧値や、受診時に外来で測定した血圧値は、随時インターネットを通して東北大学に置かれたホストコンピューターに蓄積・解析される。その血圧値に応じ、割り付けられた系統の使用降圧薬などがオンラインで指示される仕組みだ。

 本試験の開始に先立ち、今年5月からパイロット試験がスタートしているが、既に約750人の患者が全国から登録されているという。2012年末までと長期間にわたる試験だけに、治療のコンプライアンス(継続性)を高め、登録患者そして参加医師の脱落をいかに減らすか大きな課題になる。そこにIT技術がどう活用されるかが、「HOMED-BP」の成功の鍵となりそうだ。

 「HOMED-BP」の患者登録および参加医師の受け付けは、2005年12月までの4年間。臨床試験の概要や研究目的、参加申し込みなどの詳細は、東北大学大学院臨床薬学分野ホームページの「HOMED-BP Studyの紹介」まで。

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 MedWaveは日本高血圧学会の開催を機に、「高血圧治療に関する調査」を実施します。医療現場の第一線で活躍されている先生方に、高血圧治療の方法や考え方、降圧薬の処方経験、高血圧治療に関する情報ニーズなどをお伺いし、高血圧治療の実態を明らかにすることを目的としております。調査結果は後日、MedWave上で紹介する予定です。
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