2001.10.26

【日本高血圧学会速報】 糖尿病を合併した高血圧患者、より厳格な血圧管理を−−プレナリーセッションより

 糖尿病があると、10年早く動脈硬化が進む−−。10月25日に行われたプレナリーセッション1「臨床高血圧−最近の進歩」で、埼玉医科大学第4内科の片山茂裕氏は、糖尿病患者が高血圧を合併した場合の予後に関する最新の知見を紹介。心血管事故や糖尿病性腎症などを減らすためにも、一層厳格な血圧管理が必要だと訴えた。

 糖尿病患者では、体内ナトリウム量の増加、交感神経系の緊張やインスリン抵抗性の上昇、組織レニン‐アンジオテンシン系の亢進など、さまざまな要因から高血圧を合併しやすくなる。そのため1型、2型を問わず、糖尿病患者の5〜6割が、最終的に高血圧を合併するという。

 高血圧と糖尿病は、いずれも心血管疾患の危険因子だが、この二つが合併するとリスクが3〜6倍にもなる。そのため、国際的な高血圧ガイドラインや、日本高血圧学会が昨年発表した高血圧治療ガイドライン「JSH2000」では、糖尿病を心血管疾患の危険因子として重視している。「JSH2000」では、たとえ軽症の高血圧(140〜159/90〜99mmHg)でも、糖尿病を合併していれば「高リスク」に分類。生活習慣の修正や血糖管理と同時に、130/85mmHg未満(腎機能障害も合併していれば125/75mmHg)を目標値とした降圧治療を開始するよう推奨されている。

 片山氏はこうした現状を紹介した後、最近の話題として、降圧治療が糖尿病性腎症の発症を遅らせる効果があるとのエビデンスが揃い始めたことに言及。HOPE試験のサブスタディーである「MICRO-HOPE」や、片山氏らが腎機能障害を合併する1型糖尿病患者70人を対象に実施している臨床試験「JAPAN-IDDM」などの結果を提示した。これらの研究が示唆するのは、腎機能障害の進行に、血圧だけでなくインスリン抵抗性も関与していること。片山氏は「糖尿病患者に降圧薬を処方する場合は、両者を共に改善できるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬が望ましい」とした。

 最後に片山氏は、「血圧はどこまでコントロールされているか」と題した、日本高血圧学会などの会員を対象としたアンケート調査結果を提示した。合併症のない高血圧患者では4割の医師が治療目標値(140/90mmHg未満)に血圧を管理しているのに対し、糖尿病を合併した高血圧患者では、JSH2000が推奨する130/85mmHg未満に血圧をコントロールしている医師が11.3%と、わずか9人に一人しかいないとのデータだ。片山氏は「糖尿病患者の心血管死や腎障害を防ぐためにも、治療目標値を一段下げて、よりタイトな血圧コントロールを行って欲しい」と会場に呼びかけた。

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◆「高血圧治療に関する調査」ご協力のお願い

 MedWaveは日本高血圧学会の開催を機に、「高血圧治療に関する調査」を実施します。医療現場の第一線で活躍されている先生方に、高血圧治療の方法や考え方、降圧薬の処方経験、高血圧治療に関する情報ニーズなどをお伺いし、高血圧治療の実態を明らかにすることを目的としております。調査結果は後日、MedWave上で紹介する予定です。
 ご多忙のところ恐縮ですが、何卒ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 アンケート画面は --> こちらから
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