2001.10.22

SSRI服用は心筋梗塞リスクを下げる? 症例対照研究が示唆

 米国で約650人の急性心筋梗塞(AMI)患者を対象に行われた症例対照研究で、AMI既往のない対照群と比べ、症例群では抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の服用者が少ないことが明らかになった。SSRI服用者のAMI発症リスクは、非服用者の約3分の1になるという。SSRIは従来の抗うつ薬(三環系抗うつ薬)よりも循環器系の副作用が少ないことが知られているが、今回の研究がAMIの予防効果を示唆したことで、SSRIの“副効用”にも注目が集まりそうだ。研究結果は、Circulation誌10月16日号に掲載された。

 この研究を行ったのは、米国Pennsylvania大学病院循環器科のWilliam H. Sauer氏ら。Sauer氏らは、禁煙補助薬のニコチンパッチがAMI発症リスクを高めるかどうかを調べるために、現在喫煙している、または過去1年以内に禁煙したAMI患者を対象に、症例対照研究を実施した。SSRIとAMI発症率との関連は、その研究データの多変量解析から浮上してきたものだ。

 ニコチンパッチとの関連では、ニコチンパッチの使用が喫煙よりもAMI発症に悪影響を与えるとの傾向は見出せなかった(J Am Coll Cardiol;37,1297,2001)。ところが、AMIを発症した症例群(653人)と、AMIの既往がない対照群(2990人)の患者背景を多変量解析してみると、対照群と比べて症例群でSSRIの服用者が有意に少ないことが判明した。

 そこでSauer氏らは、性別や年齢、人種、運動習慣、喫煙本数、体脂肪指数(BMI)、アスピリン服用歴、心疾患の既往、糖尿病の既往など、AMIの発症に影響を与え得る因子で補正を行った。その結果、SSRIの服用者では、AMIを発症するオッズ比が0.35(95%信頼区間:0.18〜0.68、p<0.01)と、約3分の1になることがわかった。

 SSRIは、神経伝達物質であるセロトニンを放出するシナプスに選択的に作用し、脳内のセロトニン不足を解消してうつ症状を改善するとされる薬剤。セロトニンは血小板の活性化にも作用しており、血液が凝固しにくくなるため、特に高齢者では消化管出血などの副作用に注意が必要との報告もある(関連トピックス参照)。

 一方、複数の研究から、うつ病がAMIの独立した危険因子との報告もなされている。Sauer氏らは今回の研究結果について「SSRIの服用者にAMI発症が少ないことが示唆されたが、それがSSRIの抗凝固作用によるものか、うつ病がSSRIの服用によって改善されたことによるものかは明らかではない」と考察。より多くの症例を対象とした前向き研究などで、こうしたSSRIの“副効用”を検討すべきだとした。

 この論文のタイトルは、「Selective Serotonin Reuptake Inhibitors and Myocardial Infarction」。アブストラクトは、こちらまで。

■ 関連トピックス ■
◆ 2001.9.27 抗うつ薬SSRI、高齢者への投与では重度の消化管出血に注意

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