2001.10.15

【日本肥満学会速報】 肥満児と小児肥満症の基準案示す−−日本肥満学会の小児適正体格検討委員会

 成人の肥満症の診断基準は日本肥満学会が既に定めているが、小児については、日本でも国際的にも明確な基準はまだない。産業医科大学小児科の朝山光太郎氏は10月11日、小児における肥満の判定基準案と肥満症の診断基準案について、日本肥満学会のシンポジウム「小児肥満の判定と健康障害(肥満症)」で発表した。これは、同氏らが委員を務める日本肥満学会・小児適正体格検討委員会が検討したもの。
 
 まず肥満児の判定基準については、「18歳未満の小児で肥満度が20%以上、かつ体脂肪率が基準値以上に増えた状態」としている。体脂肪の基準値は、男児が25%、11歳未満の女児が30%、11歳以上の女児が35%。なお、体脂肪率の測定法は特に定めていない。肥満度は「(実測体重−標準体重)÷標準体重×100」で算出し、標準体重には文部科学省の学校保健統計調査報告書に記載されている性・年齢・身長別データを用いるとのことだ。

 肥満の判定基準としては、体脂肪指数(BMI;体重(kg)÷身長(m)の2乗)が成人では広く使われている。しかし、同学会は、2002年の国際肥満学会議において、BMIの小児肥満の判定基準の妥当性などについて議論される予定であることなどを理由に、BMIによる判定基準の提示は差し控えることにしたという。

肥満症の診断基準、小児特有の不登校やいじめなどの項目も

 肥満症については、肥満に起因ないし関連する健康障害(医学的異常)を合併する場合で、医学的に肥満を軽減する治療を必要とする病態をいい、疾患単位として取り扱うと定めている。その肥満症の診断基準は、5歳以上であって、1.肥満児でA項目を一つ以上満たす、2.肥満度が50%以上でB項目を一つ以上満たす、3.肥満度が50%未満でB項目を二つ以上満たす−−のいずれかの条件を満たす場合としている。

 A項目に示されているのは、1.高血圧、2.睡眠時無呼吸など肺換気障害、3.2型糖尿病、耐糖能障害、4.腹囲増加または臍部CTで確認した内臓脂肪蓄積−−の4項目。一方、B項目としては、肝機能障害(ALTの異常値)、高インスリン血症、高コレステロール血症、高中性脂肪血症、低HDL(低比重リポ蛋白)コレステロール血症、黒色表皮症、高尿酸血症の七つを挙げている。

 A項目やB項目については、成人の判定基準のものと重複するものが少なくない。しかし、以下に示すように、身体的因子及び生活面の問題として、体育授業の障害となる走行や跳躍能力の低下、肥満に起因する不登校やいじめなどが参考項目の形で提示されている点が、小児用の特徴と言える。

 参考項目に関しては、2項目以上が該当する場合はB項目一つと同等に扱うとしている。提示されているのは、1.皮膚線条、股ずれなどの皮膚所見、2.肥満に起因する骨折や関節障害、3.月経異常、4.体育の授業などで著しく障害となる走行、跳躍能力の低下、5.肥満に起因する不登校、いじめなど−−の五つ。

 さらに、上述のA項目、B項目、参考項目をそれぞれ点数化し、その合計点数により診断する基準も提示している。

 これらの基準案は、学会誌「肥満研究」の2002年2月号に掲載する予定だ。

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