2001.10.06

【日本胸部外科学会速報】 COPD合併肺癌患者、肺下部切除なら肺機能低下は軽微

 千葉大学呼吸器外科助手の関根康雄氏らは、肺癌患者が慢性閉塞性肺疾患(COPD)を合併していても、肺の下部を切除する手術なら、術後の肺機能低下は比較的軽いことを見出した。従来の「肺機能的限界」に基づく手術範囲よりも、症例を選べば広範囲の切除が可能であることを示すもので、手術適応の見直しにつながりそうだ。関根氏らはこの研究結果を、10月5日の一般口演で発表した。

 報告によると、1990年1月から2000年3月までに同科で肺癌の手術を受けた950人から、腫瘍最大径が5cm未満の末梢型肺癌で、肺葉を切除し、術前と術後約1カ月で肺機能検査を行った521人を抽出。術前のCOPD合併の有無と、術後の肺機能との相関を検討した。なお、「術後1カ月で肺機能検査が行えた人」を検討対象としたため、周術期死亡例などは除かれている。

 努力性呼気の1秒率が70%以下で、かつ1秒量(FEV1)の予測値に対する割合が70%以下の場合をCOPDと定義すると、術前にCOPDを合併していた患者は48人、正常肺機能患者は473人となった。関根氏らは、これらの患者に肺葉切除術を行った後の「術後予測FEV1」をCT像から求め、「術後実測FEV1」との比較を行った。

 その結果、術後のFEV1低下率は、COPD患者では切除範囲から予想された低下率よりも少ないことが判明。特に肺の下部を切除したCOPD患者では、術後予測値よりも15%、術後の実測FEV1値が良好なことがわかったという。
 
 これらのデータから、関根氏らは「術後合併症を回避できれば、COPD合併肺癌患者では術後の残存肺機能を予想以上に温存できる」と結論した。ただし、同科の千代雅子氏らの検討で、FEV1の予測値に対する割合が50%以下の重度COPD患者では、手術をきっかけに肺機能が増悪するケースが多いことも今回発表されている。「術前から呼吸訓練などを行うことで、術後の肺の動きを改善する試みも、COPDなどの呼吸器疾患合併例には必要」と千代氏は指摘している。

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