2001.10.05

【日本胸部外科学会速報】 脳死肺移植ドナーの評価、初期情報内容や提供タイミングに課題

 東北大学加齢医学研究所呼吸器再建研究分野の松村輔二氏らは、10月4日に行われた一般口演で、脳死肺移植にレシピエント側の移植施設として携わった経験を提示。日本臓器移植ネットワークから提供される初期情報の内容や提供タイミングなどに、依然として課題が残ることを示した。

 わが国ではこれまで脳死ドナーからの臓器提供が16人から行われており、うち肺は6人から9肺が提供されている。東北大学は脳死肺移植の移植施設の一つで、これまで5人のドナー候補の肺が移植に利用できるかどうかを評価してきた。

 現行のルールでは、ドナー候補が入院している「臓器提供病院」が初期情報を日本臓器移植ネットワークに提供し、ネットワークが移植施設にその情報を伝えることになっている。松村氏らは、2000年6月の同大評価第3例から、胸部X線写真が電子メールで送られてくるようになった点は「判断に非常に有用」と評価。しかし、初期情報に呼吸器感染症に関するデータが不足している点や、情報提供が2回の脳死判定後に行われる点については、迅速な判断を行うためにも改善の余地があるとした。

 なお、わが国における脳死ドナーからの肺提供率は36%で、米国の13%と比べると高い水準だ。これは、いわゆるマージナル(境界領域の)・ドナーと呼ばれる、臓器機能に一部難があるケースでも移植を行っているためだ。

 松村氏は「ドナー数が極めて限られるわが国では、マージナル・ドナーの積極的な利用が不可欠」と指摘。移植施設と臓器提供施設が直接連絡を取り合えない現行ルール下では、臓器提供施設に肺水腫や肺感染症に対する適切なドナー管理法をガイドラインのような形であらかじめ提示し、臓器機能をできるだけ維持してもらうことが肝要だとした。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 近所で有名な「怖い看護師さん」の処遇に悩む 榊原陽子のクリニック覆面調査ルポ FBシェア数:8
  2. ヒドすぎる医療シーンに仰天「これが魔術か…」 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:14
  3. まずLAMAから?それともLABAから? プライマリケア医のための喘息・COPD入門 FBシェア数:100
  4. その消化管出血、本当に抗血栓薬が原因ですか? 学会トピック◎第81回日本循環器学会学術集会 FBシェア数:146
  5. “不思議ちゃん”看護師が職場にいたら うさコメント! FBシェア数:0
  6. DAPT併用にはワルファリンよりNOACが安全 学会トピック◎第81回日本循環器学会学術集会 FBシェア数:4
  7. すっぴん出勤の理由 病院珍百景 FBシェア数:1
  8. 娘のかかりつけ医選びで知った最近の小児科事情 記者の眼 FBシェア数:123
  9. 幼少期の愛情剥奪は長期的な悪影響を及ぼす Lancet誌から FBシェア数:99
  10. 81歳男性。側腹部の膨隆 日経メディクイズ●救急