2001.10.02

お酒の飲み方と糖尿病の発症率に相関、米コホート研究が示唆

 約5万人の中高年男性を追跡したコホート研究で、アルコールの摂取パターンと2型糖尿病の発症リスクとの間に相関があることがわかった。週に5回以上軽くお酒を飲む人では、全くお酒を飲まない人よりも2型糖尿病の発症率が12年で5割低いという。研究結果は、米国糖尿病協会(ADA)の学術誌であるDiabetes誌10月号に発表された。

 飲酒が糖尿病に対して保護的に作用することは、既に複数の観察研究から示唆されている。しかし、その理由には諸説がある上、食事と共に飲酒するかどうかや、アルコール飲料の種類(保護的な作用があるとされる赤ワインか否か)など、バイアスとなりうる要素に関する解析は不十分だった。

 米国Harvard公衆衛生大学栄養学部のKatherine M. Conigrave氏らは、40〜75歳の健康な男性医療従事者5万1529人を対象としたコホート研究「Health Professionals Follow-Up Study」の参加者を追跡。飲酒量、飲酒パターンと2型糖尿病発症との相関を調べた。このコホート研究は「Physicians' Health Study」に対抗する形で1986年にスタートしたもので、参加者の6割を歯科医、2割を獣医、1割を薬剤師が占める。

 その結果、解析対象となった4万6892人のうち1571人が、平均12年間の追跡期間中に2型糖尿病を発症した。1日平均のアルコール摂取量で7群に分けて解析すると、全くアルコールを飲まない人よりも、エタノール換算で50g以上飲む人の方が、2型糖尿病の発症率が36%低くなることがわかった。アルコールの摂取量と糖尿病発症率には正の相関があり、年齢、体脂肪指数(BMI)、喫煙歴や運動習慣、高血圧、糖尿病の家族歴など、糖尿病の発症に寄与しうる因子で補正した後も、相対発症率は50g以上の飲酒者で39%低くなった。

 次にConigrave氏らは、1週間に平均何回飲酒するかでグループ分けして、同様の解析を行った。すると、週に1〜2回飲むが1日平均量は1杯未満の(全く飲まない人を含む)群と比べ、週に3〜4回飲む群や、週に5回以上飲む群では、飲酒量に関わらず補正後の2型糖尿病発症率が有意に低くなった。1日平均の飲酒量も含めて解析すると、糖尿病の相対発症率は、「週に5回以上飲むが1日平均量は1杯未満」の群で0.48と最も低くなった。

 研究グループは、食事と共に飲酒するか否かや摂取するアルコール飲料の種類についても同様の解析を加えているが、糖尿病の発症率との間には相関がみられなかった。以上からConigrave氏らは、1.食事しながら飲むかどうかや、アルコール飲料の種類に関わらず、飲酒そのものが糖尿病の発症を抑制する、2.1度に大量に飲むよりも、週に何度も少量ずつ飲む方が抑制効果が高い−−と結論付けている。

 この論文のタイトルは、「A Prospective Study of Drinking Patterns in Relation to Risk of Type 2 Diabetes Among Men」。アブストラクトは、こちらまで。

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