2001.10.01

【日本癌学会速報】 第2世代癌ペプチドワクチンの第1相試験結果が報告、抗癌薬との併用で腫瘍縮小例も

 久留米大学先端癌治療研究センターが1997年から研究を進めている、癌のペプチドワクチンの第1相試験結果が、9月28日の一般口演で報告された。今回発表されたのは、細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導能を指標に投与する癌抗原ペプチドを選択する、第2世代のペプチドワクチンに関する臨床成績。2000年11月から現在までに52人の進行癌患者に投与され、寛解例はないものの、抗癌薬との併用例の一部で腫瘍縮小効果がみられるなど興味深い結果が得られた。

 癌ペプチドワクチンは、標的とする癌に特異的な抗原ペプチドを皮内注射し、CTLを誘導して癌に対する免疫能を高めるもの。第2世代のワクチンは、あらかじめ患者の末梢単核球(PBMC)を調べ、ペプチド特異的CTLの前駆体を検出することで、最も強力なCTLを誘導し得るペプチドを4種類選んで投与している。こうした、いわばテーラーメードなワクチンを調整することで、従来の特定ペプチドを一律に投与する方法ではCTL活性の上昇に3カ月を要したのが、1カ月目からCTL活性が上昇し始めるようになったという。

 臨床試験の対象は、再燃前立腺癌の患者が10人と最多で、次いで肺癌(9人)、大腸癌(7人)、子宮癌(6人)など多岐に渡る。ワクチンは2週間に1回皮内投与するが、現時点で癌が完全寛解(CR)した症例は認められていない。しかし、抗癌薬を併用したケースでは、一部に腫瘍マーカー値の低下や画像上の腫瘍縮小が認められた。

 興味深いのは、併用する抗癌剤によって、効果に違いがみられる傾向があること。進行大腸癌患者を対象とした試験では、塩酸イリノテカン(CPT-11)を中心とするレジメン(化学療法薬の組み合わせ)を投与した1例では有用性が認められなかったが、フルオロウラシル(5-FU)を中心とするレジメンでは4例全例で腫瘍マーカー値が低下し、うち2例では腫瘍の縮小効果もあったという。

 この結果は、ペプチドワクチンに「化学療法の切れ味を良くする免疫療法」としての可能性を開くものだ。久留米大学では、癌の進行(PD)がみられた時点で臨床試験の中止・続行、あるいは抗癌薬を併用するかを患者に選択させているが、発表者の一人である同センターの峯孝志氏は「抗癌薬との併用についても、第1/2相臨床試験を行いたい」と述べた。

 ただし、抗癌薬に免疫抑制作用があることはよく知られており、発表後の質疑応答では「細胞性免疫を高めることで癌を攻撃するペプチドワクチンとの併用で、どうして効果が現れるのか」との質問も出された。作用メカニズムの解明と、単独群と併用群を無作為に比較する厳密な臨床試験の実施が待たれる。

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