2001.09.28

【日本癌学会速報】 C型慢性肝炎へのIFN治療、肝疾患死リスクを6割減

 約3300人のC型慢性肝炎患者を対象とした症例対照研究で、インターフェロン(IFN)による治療を受けた人では、無治療の場合よりも肝疾患関連死の相対リスクが56%低いことが明らかになった。C型肝炎患者がIFN治療を受けると、肝細胞癌の発生率が下がることは知られていたが、生命予後の改善効果を示唆した研究はこれが初めて。研究結果は、9月27日に行われたシンポジウム「ウイルス・細菌感染とがん」で発表された。

 研究を行ったのは、大阪大学総合診療部の笠原彰紀氏ら。笠原氏らは、大阪大学など6大学病院と1関連病院を受診、1997年までにIFN治療を完了していたC型慢性肝炎患者3024人と、IFN治療を受けていないC型慢性肝炎患者271人を登録、2000年12月末まで追跡してIFN治療が肝細胞癌の発症率や肝疾患関連死亡率に与える影響を調べた。登録時からの平均追跡期間は、IFN治療群が約8年、IFN無治療群が約6年。

 その結果、肝細胞癌の5年、10年発症率は、IFN治療群が3.3%と12.4%、IFN無治療群が5.2%と19.1%となり、いずれもIFN治療群が有意に低くなった(p=0.001)。発症率に影響を与える因子(性、年齢、肝臓の繊維化の程度)で補正すると、IFN治療群では無治療群と比べ、肝細胞癌の発症リスクが相対的に38%低くなることが明らかになった。

 このリスク低減効果にはIFN治療への反応性が相関しており、IFN治療が著効した患者(著効群:994人)では発症リスクが84%低下したが、いったんは改善したものの再燃した患者(再燃群:791人)ではこれが46%であり、治療効果が出なかった患者(不変群:1234人)では9%に過ぎなかった。

 次に、同様の解析を肝疾患関連死(肝細胞癌、肝不全、食道静脈瘤破裂による死亡)に対して行うと、補正後の死亡率は無治療群と比べIFN治療群で相対的に56%低下することがわかった(p=0.0003)。IFN治療への反応性でみると、著効群では死亡リスクが98%、再燃群でも87%低下していたが、不変群では22%だった。

 さらに笠原氏らは、対象患者を肝臓の繊維化の程度で3群に分け、IFN治療の効果を検討した。すると、肝細胞癌の発症率については、中等度〜重度の繊維化群(F2〜F3群)でのみIFN治療で有意に低下し、繊維化がなし〜軽度の群(F0〜F1群)や肝硬変群(F4群)では、低下傾向はあるものの有意な差にはならなかった。肝疾患関連死亡率については、3群とも有意にIFN治療で低下したが、p値はF2〜F3群が最も小さかった。

 以上から笠原氏は「C型慢性肝炎に対するIFN治療は、肝細胞癌の発症を抑えるだけでなく、生存率も改善する。こうした効果はIFNが著効した人だけでなく、結果的に再燃した人にも現れる」と結論。ただし、繊維化の程度でも効果に違いがあるため「例えば繊維化が中程度から重度になるまで治療を待つ、あるいは現在は健康保険の対象外である肝硬変の患者も治療対象に含めるなど、治療時期については何らかの再検討が必要」と述べた。

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