2001.09.21

【日本体力医学会速報】 高齢者向けの運動教室、体力増進だけでなく主観的健康観の改善効果も

 疾病の克服から“健康寿命”の延長へ−−。医療の目標が大きく移り変わる中、高齢者に対してどのような介入を行うべきかが模索されている。9月20日に行われたシンポジウム4「運動障害者における体力増進の意義」では、東北大学医学系研究科人間行動学研究分野の玉川明朗氏が、高齢者向けに開いた2種類の運動教室の成果を紹介した。一つは体力作り、もう一つは主観的健康感の改善を達成するもので、高齢者への運動介入へのあり方を考える上で格好のモデルケースとなりそうだ。

 玉川氏らが最初に開設した高齢者向けの運動教室は、「シニア生活体力づくり教室」。週3回2時間ずつ6カ月に渡って、リズム体操や自転車こぎなど様々な運動を行うものだ。参加者では最大酸素摂取量や腕力の向上がみられ、その効果は教室終了6カ月後でも持続していた。高齢者の体力作り、という当初の目的を達成するものだったという。

 しかし、この運動教室は、虚弱高齢者に対する心身機能活性訓練の効果を調べる介入研究として行われたもの。教室で指導する運動についてこられない人や、心疾患などのため軽い運動しかできない人に対しては、参加を断らざるを得なかった。「運動をしてみたいのに、ダメと言われた」とがっかりする人を作るデメリットより、運動教室という社会的活動に参加する意識を大切にすべきではないか−−。そんな反省から、玉川氏らは「ぐっと(GOOD)元気に倶楽部」をスタートさせた。

 「ぐっと(GOOD)元気に倶楽部」は、宮城県の介護予防モデル事業として行われたもので、希望者は誰でも参加できる。参加者54人中83.3%が病医院を受診しており、半数以上が服薬中で、教室の開催期間中に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた人もいたほどだ。運動は週1回、体育館で行ったが、その強度は「シニア生活体力づくり教室」で行った運動よりはるかに軽いもの。それでも6カ月間の運動教室終了時には、体力テストの得点が上昇していた。

 玉川氏が注目するのは、こうした体力面のほかに、「出かける楽しみが増えた」「生活のはりができた」といった、主観的健康観の改善がみられたことだ。運動を通した仲間作りも進み、モデル事業としての教室が終了した後も、参加者は“OB会”と称して自主的な教室運営を続けているという。

 こうした経験から、玉川氏は「体を動かそうという意識がある人は、高齢でも運動障害者ではない」と強調。たとえ持病がある人でも、医師や運動指導者とのネットワークを通して、運動の場を作っていくことが大切だと述べた。

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