2001.09.19

【日本体力医学会速報】 ICとEBMが「評価の疫学」の基本に−会長講演より

 9月19日に行われた会長講演「健康科学と疫学について」では、今期大会長を務める東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の久道茂氏が、臨床研究や疫学研究の科学的妥当性について解説。人を対象とする研究で、「科学性と倫理性を確保するのは、研究者としての責務」だと強調した。

 講演の冒頭で久道氏は、健康科学(ヘルスサイエンス)の定義を紹介。人間が健康な状態を保ち、健康を増進するための科学であり、医学だけでなく栄養学や薬学、スポーツ科学、情報科学、政策科学など多くの学問領域を含む総合科学であるとした。

 その一分野である疫学は、古典的には感染症の記述疫学としてスタートした。しかし、対象となる領域が感染症などの急性疾患から慢性疾患に移るにつれ、疫学の果たす役割も「治療や診断、保健対策事業などの介入の効果を評価する、『評価の疫学』」(久道氏)へと変わってきたという。

 こうした評価を科学的に行う際に欠かせないのが、きちんとデザインされた介入試験だ。久道氏は「いわゆる『われ使った、治った、故に効いた』という“三た論法”で効果ありとされた薬は、次々と再評価で消えていっている」と指弾。わが国で行われている多くの臨床研究で、外因的・内因的なバイアスがかかっていることを指摘し、バイアスを可能な限り排除した試験計画を立てることが重要と述べた。

 さらに久道氏は、近年問題とされることが多い疫学研究の倫理性にも言及。参加者に対してインフォームド・コンセント(IC)を確実に行うことはもちろんだが、まず「介入が科学的でなければ(介入に科学的な根拠がなければ)倫理的でない」と述べ、EBM(根拠に基づく医療)の重要性を強調した。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 医師のあこがれ? 「ブラックカード」の魅力 Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:1
  2. 山梨市長逮捕で「医学部裏口入学」を考える 中山祐次郎の「切って縫うニュース」 FBシェア数:33
  3. インスリンの2回打ちって、もう古い? シリーズ◎岩岡秀明の糖尿病よろず相談所【藤沼康樹編】 FBシェア数:100
  4. 女子マネ死亡…AEDを巡る論争に言いたいこと 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:667
  5. 働き方改革の議論に必要な「対患者」の視点 記者の眼 FBシェア数:97
  6. 大学病院の「全床高度急性期」報告に厳しい批判 記者の眼 FBシェア数:46
  7. 急激な腎機能低下を一過性と侮るな トレンド◎急性腎障害(AKI)診療ガイドライン発行 FBシェア数:152
  8. 特集「『説明したのに敗訴』のなぜ」が生まれたわけ 編集会議 on the Web FBシェア数:105
  9. 癌の種類で異なる骨転移治療の進め方 日経メディカルOncologyリポート FBシェア数:28
  10. SPECTのみでアルツハイマーの鑑別はできない プライマリケア医のための認知症診療講座 FBシェア数:25