2001.09.16

【日本骨粗鬆症学会速報】 腎機能が低い骨粗鬆症患者、ビタミンDとカルシウムとの併用療法に注意

 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科の重松隆氏らは、腎機能低下に伴う二次性副甲状腺機能亢進症の治療を目的に、ビタミンD製剤とカルシウム(Ca)剤の効果を検討。両者を併用した患者では、かえって副甲状腺ホルモン(PTH)の低下効果が少なく、腎機能に悪い影響が出る恐れがあることを見出した。骨粗鬆症患者の多くは高齢者であり、高齢者では腎機能が落ちているケースが多いので、両薬の併用には注意が必要になりそうだ。この研究結果は、9月15日の一般口演で発表された。

 腎臓は、老廃物をろ過するほか、ビタミンDを活性化する作用も持つ。そのため、腎機能が低下すると、血液中の活性型ビタミンDが減少。腸管からのCa吸収が低下して低Ca血症を起こす。こうして血液中のCa量が少なくなると、副甲状腺はPTHを大量に分泌して骨からCaを奪い取る。これが二次性副甲状腺機能亢進症と呼ばれる病態だ。

 重松氏らは、腎機能障害のために血中のCa濃度が低下し、PTH濃度が上昇している二次性副甲状腺機能亢進症患者75人を3群に分け、1.ビタミンD製剤(アルファカルシドール、1日量0.5μg)、2.Ca剤(炭酸カルシウム、1日量3g)、3.ビタミンD製剤+Ca製剤(1日量は1、2のそれぞれ半量)−−を投与。1年間追跡して、PTHの低下効果や腎機能への影響を調べた。

 その結果、ビタミンD製剤とCa剤の併用では、ビタミンD製剤の単独投与と比べ、PTHの低下効果が劣ることが明らかになった。腎機能を反映する血清クレアチニン値も、ビタミンD製剤やCa剤の単独投与と比べ、併用投与では9カ月目以降で有意に上昇。併用療法は単独療法より、PTHの低下効果が劣る上、腎機能を障害する危険があることが判明した。

 重松氏は「骨粗鬆症患者の多くは高齢者だが、クレアチニン・クリアランス値と年齢とは正の相関があり、高齢者の多くは腎機能障害を合併している」と指摘。高齢の骨粗鬆症患者にビタミンD製剤やCa剤を使う場合は、単独療法を行うべきとし、両薬の併用に警鐘を鳴らした。

 発表後の質疑応答では、患者が食事療法やサプリメントでCaを摂っている場合、ビタミンD製剤の投与は避けるべきかとの質問が出された。重松氏は「今回の試験で併用療法に用いたCa剤には、1日量で600mgのCaが含まれている。食事だけで普段より600mg、Caを多く摂取することは起こりにくいので、あまり心配はいらない」と回答した。しかし、サプリメントを服用している患者では、600mgの追加摂取は現実に起こり得る範囲。ビタミンD製剤を高齢者に処方する場合は、Ca剤の服用の有無を確認した方がよさそうだ。


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