2001.09.15

【日本骨粗鬆症学会速報】 ステロイド性骨粗鬆症、早期からビス製剤の予防的投与を−特別講演より

 9月14日に行われた特別講演2「ステロイド骨粗鬆症の病態と治療のトピックス」では、九州大学大学院医学研究院病態制御内科学(第3内科)の名和田新氏が、糖質コルチコイド誘発性骨粗鬆症(いわゆるステロイド性骨粗鬆症)の病態と治療について解説。疾患コントロールのために糖質コルチコイドを長期間投与する場合は、「投与開始時からビスフォスフォネート(ビス製剤)を予防的に投与する」との世界的なコンセンサスができつつあることを示した。

 ステロイド性骨粗鬆症は、慢性関節リウマチなどステロイドを長期的に服用する患者で生じる2次性骨粗鬆症。骨量減少は2層性のパターンを示し、ステロイド服用開始から6カ月間でまず骨量が急激に減少、以後もゆるやかな減少が続く。また、骨量の減少は皮質骨よりも海綿骨で著明に起こる。そのため、脊椎の圧迫骨折や肋骨骨折が高頻度に生じ、「(慢性関節リウマチなどの)病気はコントロールできたのに、骨折のため社会復帰できない」(名和田氏)ことが、ステロイド治療上の大きな課題となっている。

 こうしたステロイド性骨粗鬆症患者がどの程度発生しているのかは長い間不明だったが、米国リウマチ学会が1996年に発表した調査で、全骨粗鬆症患者の約20%にステロイド長期服用歴があることが判明。その4人に一人は骨折を起こしていることがわかり、ステロイド性骨粗鬆症を治療、さらには予防しようとの気運が高まった。

 一方、ステロイドの作用機序が明らかになるにつれ、副作用を起こさないステロイドアナログの開発や投与法の検討も進んでいる。名和田氏によると、抗炎症作用や抗免疫作用は示すが、骨代謝などには影響を与えない、そんな“夢の新ステロイド”の開発が進められているという。糖質コルチコイド受容体(GR)の遺伝子多型に基づいて、投与量を調節しようとの試みも始まった。

 このような新薬や新しい検査法が臨床導入されれば、「ステロイド性骨粗鬆症」は過去のものとなるかもしれない。しかしそれまでの間は、ステロイドの内服で慢性疾患をコントロールしている多くの患者にとって、生活の質(QOL)にかかわるステロイド性骨粗鬆症の予防が大切なことは言うまでもない。

治療の第一選択はビス製剤、骨量によらず長期服用予定者に処方

 こうした現況を受け名和田氏は、これまでに発表された欧米のステロイド性骨粗鬆症治療ガイドラインを概説した。1996年に発表されたガイドラインでは、性腺機能低下例へのホルモン補充療法(HRT)が第一選択となっていたが、ビス製剤に高い治療効果があることが複数の臨床試験で実証。これを受けて2000年以降に発表されたガイドラインではビス製剤が第一選択となったという。

 また、名和田氏は、治療対象となるステロイド服用者や、ステロイド性骨粗鬆症を起こし得るステロイドの投与量・期間についても、考え方がここ数年で大きく変わったことを指摘した。

 治療対象となるステロイド服用者は、1998年までに発表されたガイドラインでは骨量のTスコアに基づいて決められていた。しかし、2000年のガイドラインでは、骨量によらず「一定量のステロイドを長期服用する患者」とされた。ステロイド性骨粗鬆症を起こし得る糖質コルチコイドの量や投与期間についても、以前は「プレドニゾン換算で1日7.5mg、6カ月」と考えられていたのに、今年7月に米国リウマチ学会が発表したガイドライン(関連トピックス参照)では「1日5mg、3カ月」と変わったという。

 こうした世界的コンセンサスの変化を踏まえ、九州大学では既に、ステロイド服用者に対するビス製剤の予防的な投与を開始している。名和田氏によると、ステロイドの長期投与が予想される患者については、まず骨量を測定。Tスコアで−1.5以下の骨低下が見られたら、ビス製剤をステロイドと一緒に処方しているという。名和田氏は最後に、「ステロイド性骨粗鬆症への対処について、日本でもしっかりしたエビデンスを蓄積し、専門医間でコンセンサスを形成することが大切」と強調した。

■ 関連トピックス ■
◆ 2001.7.25 米国リウマチ学会、ステロイド性骨粗鬆症の予防・治療ガイドライン改訂版を発表


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