2001.09.12

【EASD学会速報】 Novartis Pharma社、IGTに対する糖尿病・心疾患発症予防効果をみる臨床試験を11月開始

 スイスNovartis Pharma社は9月10日、耐糖能異常(IGT)の人を対象とした臨床試験を今年11月から開始すると欧州糖尿病学会(EASD)で記者発表した。この臨床試験は、2型糖尿病と心血管疾患の、薬物療法による発症予防効果をみるもの。登録者数は7500人を予定しており、この種の臨床試験では最大規模となる。

 この臨床試験の名称は「NAVIGATOR」 (Nateglinide And Valsartan in Impaired Glucose Tolerance Outcomes Research)。介入にはインスリン分泌促進剤のナテグリニド(商品名:Starlix)と、アンジオテンシン2受容体拮抗薬のバルサルタン(商品名:Diovan)を用いる。

 IGTは、“前糖尿病状態”ともいえる、糖代謝の軽度異常だ。IGTそのものは病気とは言えないが、IGTがあると糖尿病や心血管疾患を発症するリスクが高くなる。先進国に住む40歳以上の人では、7人に一人がIGTで、うち半数は10年以内に2型糖尿病を発症するとのデータがあるほどだ。そのため、IGTの段階から薬物療法や生活習慣への介入を行い、糖尿病や心疾患を予防しようとの試みが近年続々と行われている。

 NAVIGATOR試験は2段階に分かれており、参加者登録の終了後、まず最初の3年間で2型糖尿病の発症に対する薬剤の予防効果を検証。次に、心疾患発症者が1006人に達するまで臨床試験を続け、心血管疾患に対する予防効果を検証する。参加者登録は2001年11月から2003年5月まで。Novartis Pharma社では全追跡期間を5年9カ月と見込んでおり、糖尿病予防については2006年中頃、心血管疾患予防については2007年中頃までに試験が完了する予定だ。

 参加者の組み入れ条件は、心血管疾患の既往がある50歳以上のIGT者と、2型糖尿病や早期心疾患の家族歴や、喫煙や高血圧など心血管疾患の危険因子を持つ55歳以上のIGT者。臨床試験では参加者を無作為に4群に分け、1.ナテグリニド(1日量60mg)、2.バルサルタン(1日量160mg)、3.ナテグリニド+バルサルタン、4.プラセボ−−をそれぞれ服用してもらう。

 なお、ナテグリニドはわが国では山之内製薬が「スターシス」、アベンティス ファーマが「ファスティック」の商品名で、バルサルタンはノバルティス ファーマが「ディオバン」の商品名で販売している。NAVIGATOR試験には欧州、米国やアジアなど約40カ国の医療機関が参加するが、ノバルティス ファーマによると「現時点で日本の医療機関からの参加予定はない」という。詳しくは、Novartis Pharma社のニュース・リリースまで。(八倉巻尚子、医療ライター)


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