2001.09.12

【EASD学会速報】 超速効型インスリンを用いる強化インスリン療法、中間型インスリンの2回投与は勧められず

 超速効型インスリンのリスプロに中間型インスリンを組み合わせて使用する場合、中間型インスリンの1日投与回数を2回にしても、1回の場合と血糖コントロールはほとんど変わらないことがわかった。しかし、軽度低血糖の頻度は増加するため、総合的にみて2回投与は勧められないようだ。この研究は、オランダUtrecht大学のA. M. E. Stades氏らが、9月10日の一般口演で発表した。

 作用時間の異なるインスリンを頻回投与し、健常人のインスリン分泌に近づける「強化インスリン療法」は、血糖コントロールを改善して合併症の発生リスクを減少すると考えられている。強化インスリン療法では、「就寝前に中間型インスリンを1回投与し、食事の30分前に速効型インスリンを追加投与する」という投与法(1回投与法)が標準的だ。

 超速効型インスリンは、速効型インスリンよりも吸収が早いため、食事の直前に投与しても血糖値の上昇に対応できるというメリットがある。しかし、作用の持続時間が速効型インスリンよりも短いため、速効型インスリンを用いる場合と同じ投与法では、昼食と夕食の間に血糖が上がってしまうことが確認されていた。

 Stades氏らは、超速効型インスリンを用いる場合は「中間型インスリンを就寝前と昼食時の2回投与し、食直前に超速効型インスリンを追加投与する」という投与法(2回投与法)が有用ではないかと予測。1型糖尿病患者121人を対象とした交差試験(患者を対照集団と被験集団に分け、2種類の介入を交互に行う試験)を行い、1回投与法と2回投与法とを比較した。試験期間は10カ月で、最初の2カ月を準備期間とし、後に4カ月ずつ1回投与法または2回投与法を適用した。

 その結果、長期間の血糖コントロール状態を反映するヘモグロビンA1c(HbA1c)は、1回投与法では平均7.2%、2回投与法では7.1%となり、両者に差はなかった。一方、夕食前の血糖値は、1回投与法よりも2回投与法の方が有意に低くなった。しかし、2回投与法では逆に、軽度低血糖の頻度が18〜24時と0〜6時の間で増加していた。

 これらのデータが示すのは、中間型インスリンの2回投与法では、夕方の血糖コントロールがわずかに改善するだけで、逆に軽度低血糖の頻度が増加してしまうということ。以上からStades氏は「中間型インスリンの昼食時追加投与は、超速効型インスリンのリスプロで強化インスリン療法を行う1型糖尿病患者には勧められない」とした。

 なお、わが国では今年8月31日、日本イーライリリーがリスプロを「ヒューマログ」の商品名で発売したばかり(関連トピックス参照)。強化インスリン療法に用いる場合、中間型や長時間型、混合型インスリンをどのように組み合わせるのがベストなのか、検討は今後も続きそうだ。(八倉巻尚子、医療ライター)

■ 関連トピックス ■
◆ 2001.9.4 日本イーライリリー、食直前投与が可能な超速効型インスリン製剤を発売


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