2001.09.05

【ESC学会速報】 IDNT研究がESC学会で再度報告、近くNEJM誌に論文が掲載

 5月の米国高血圧学会、6月の欧州高血圧学会に続き、欧州心臓学会(ESC)でも再び「IDNT研究」が報告された。今回報告を行ったのは、米国Brigham and Women's病院のM. Pffefer氏。SAVE試験などで有名な心臓専門医だ。発表は、9月4日のホットライン・セッションで行われた。

 IDNT(Irbesartan Diabetic Nephropathy Trial)は、2型糖尿病性腎症に対し、アンジオテンシン2(A2)受容体拮抗薬のイルベサルタンの腎保護作用を中心とした有用性を検討した試験。カルシウム(Ca)拮抗薬のアムロジピンとプラセボとを対照に置いた3群二重盲検試験だ。

 対象患者は、2型糖尿病腎症を合併した高血圧の男女。具体的には、1.2型糖尿病を20歳以降に発症、2.蛋白尿が1日900mgを超える、3.血清クレアチニン値が女性は1.0〜3.0mg/dl、男性は1.2〜3.0mg/dl、4.血圧が135/85mmHgを超える、あるいは降圧薬を服用−−の四つが組み入れ条件となっている。なお、非糖尿病性腎症に罹患している患者や、最近の心血管イベント既往例は除かれた。

 研究グループは、この条件に合致する1715人を、1.イルベサルタン300mg/日群(579人)、2.アムロジピン10mg/日群(567人)、3.プラセボ群(569人)−−の3群に無作為割り付け。通常の降圧治療に追加して所定の投薬を行い、平均2.6年間追跡して腎保護作用を検討した。試験開始時の背景因子には、有意な差がみられなかった。また、試験期間中の血圧は、イルベサルタン群とアムロジピン群間には有意差を認めず、プラセボ群では若干高かったという。

 その結果、第一評価項目である「血清クレアチニン値の2倍化、末期腎不全への移行、または死亡」のリスクは、イルベサルタン群でアムロジピン群と比べ相対的に23%、プラセボ群に対しては20%、それぞれ有意に減少していた。アムロジピン群とプラセボ群の間には有意差を認めなかった。

 ただし、「心血管系イベント発生率」は3群間で有意差を認めず、また「総死亡」もイルベサルタン群とアムロジピン群、イルベサルタン群とプラセボ群間に有意差は認められなかった(いずれもアムロジピン群で減少傾向)。上記の結果から、Pfeffer氏は「イルベサルタンには、降圧作用とは独立した腎保護作用がある」と結論付けた。

 しかし、本試験で同等だったのは随時血圧であり、作用時間が長いとされるアムロジピンと、相対的に短いとされるイルベサルタンの24時間血圧が同等だったかについては、疑問とする声もある。事実、本試験でのイルベサルタンの用量は、通常24時間の降圧効果を測定する際に用いられる用量(150mg/日)の倍量だ(J Hypertens;15,1511,1997、J Hypertens Suppl;15,S21,1997)。

 はたしてこの結果で、イルベサルタンには降圧と独立した腎保護作用があると言えるのか−−。論文も今月早々に、New England Journal of Medicine(NEJM)誌に掲載されるという。論文公表後の専門家の評価が待たれる。(指方 通、医療ライター)

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