2001.09.05

【ESC学会速報】 Ca拮抗薬ラシジピン、β遮断薬との比較試験で動脈硬化抑制作用を示唆−−ELSA試験

 長時間作用型カルシウム(Ca)拮抗薬のラシジピンがβ遮断薬に比べ頸動脈壁肥厚を抑制するとする大規模臨床試験が、9月4日のホットライン・セッションで報告された。高血圧患者2334人を対象とするELSA(European Lacidipine Study on Atherosclerosis)試験の結果による。イタリアMilano大学のA. Zanchetti氏が発表した。

 ELSA試験は、2255人の高血圧患者を、β遮断薬のアテノロール群(1126人)とCa拮抗薬のラシジピン群(1129人)に無作為割り付け。その後二重盲検で4年間追跡し、試験前後の頸動脈壁厚の変化を検討した。

 その結果、ラシジピン群ではアテノロール群に比べ、Bモードエコー法を用いて測定した頸動脈肥厚の有意な進展抑制が認められた。エコーの輝度から組織の性質を判断するUTC法で頸動脈壁のプラークを観察すると、ラシジピン群ではアテノロール群に比べプラーク数が少なく、「より高いプラーク退縮率」と「より低いプラーク進展率」を認めたという。

 頸動脈肥厚が進展する要因の一つは高血圧だが、随時血圧は両群間で差を認めず、24時間血圧はアテノロール群で有意に低下していた。これらの結果からZanchetti氏は「ラシジピンには、血圧とは独立した抗動脈硬化作用が強く示唆される」と結論付けた。

 ただし、この抗動脈硬化作用が臨床的にどのような意義をもたらすかについては、本臨床試験では検討されていない。Zanchetti氏は、頸動脈肥厚と臨床転帰との関係を検討した臨床試験(Ann. Int. Med.;12,262,1998)を紹介。その結果をELSAで得られたデータに照らし合わせると、アテノロール群で「心筋梗塞ないし冠動脈疾患死のリスクが1.6倍になる」としている。

 しかし、異なる臨床試験を組み合わせて導かれた結論には、やはりエビデンスとしての弱さが残る。Ca拮抗薬の抗動脈硬化作用に、臨床的な意義があるかどうかを検証するには、臨床イベントを第一評価項目に設定した大規模試験を待つべきだろう。(指方 通、医療ライター)


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