2001.08.20

【日本骨代謝学会速報】 ステロイドによる大腿骨頭壊死症、壊死は投与から3カ月以内に発生

 ステロイドは、特発性大腿骨頭壊死症(ION)の最も重要な危険因子。このステロイド投与による壊死の発生と、IONの発症には、実はかなり時間的な開きがある−−。8月10日に行われたシンポジウム2「ステロイドと骨」で、京都府立医科大学整形外科の久保俊一氏は、ステロイド誘発性IONの病態に関する最新の知見を紹介した。

 IONは、厚生労働省から特定疾患(難病)として指定されている、原因不明の疾患。何らかのきっかけで大腿骨頭部への血流が途絶えることで骨頭に壊死が生じ、この壊死部が圧潰・変形することで起こる。1994年に行われた疫学調査では、1年間に約7400人のION患者が医療機関を受診しており、その半数にステロイド服用歴があった。

 IONは、ステロイドを定期的に服用する疾患の合併症として起こってくることが多い。原疾患として最も多いのは全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病で、ステロイド内服歴のあるION患者の約3分の1はSLEだ。腎臓や肝臓などの移植を受けた患者にもIONは多く、腎臓では約4%の移植者がIONを合併するという。

 久保氏らは、腎臓移植者43人を対象に、大腿骨頭の磁気共鳴イメージング(MRI)像を定期的に撮影。MRI上に壊死像が現れる時期と、股関節の痛みなどの症状が現われる時期との間には、数カ月から年単位の開きがあることを見出した。

 IONの病変部は、1.壊死層、2.反応層、3.健常層−−の3層構造になっており、真中の反応層がMRIでは帯状の「バンド像」として見える。このバンド像は、ステロイド服用開始後6〜16週で出現する。骨折などによる骨壊死では、バンド像が壊死から4週後に現れることがわかっており、このことから類推すると、壊死そのものはステロイド服用後2〜12週で起こっていることになる。

 一方、壊死部の圧潰などによってIONの症状が現われるのは、ステロイドの服用後6カ月から2年たってからだ。以上から、「壊死の発生」と「IONの発症」には、大きな時間的な開きがあることがはっきりしたという。

 久保氏らの検討では、ステロイドの服用を続けても、バンド像が経時的に末梢側に拡大する所見は現れないという。つまり、一度生じた壊死が、ステロイド服用で悪化することはないわけだ。久保氏はこの点を重視し、「骨壊死症を診断した時点で、ステロイドを減量する必要はない」と強調。欧米ではIONの発症に“ステロイドの蓄積効果”があるとの考えが根強いが、久保氏は「ステロイドはIONの発生に関与するのみ。予防策を講じる上では、発生と発症とを明確に区別する必要がある」と述べた。

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