2001.08.17

【日本骨代謝学会速報】 骨粗鬆症薬併用療法の臨床試験が中間報告、ビタミンDとKの組み合わせは“不利な併用”

 信州大学整形外科の小林千益氏、成人病診療研究所の白木正孝氏らは、8月10日に行われた一般演題で、骨粗鬆症の薬剤併用療法に関する多施設共同試験の臨床成績を中間発表した。今回発表されたのは、介入後2年間の骨密度の変化や新規の骨折発生率など。ビスフォスフォネート製剤(ビス製剤)とビタミンDやビタミンKとの併用が高い治療効果を示す一方、ビタミンDとビタミンKの併用では骨密度がほとんど増加しないなど、興味深い結果が得られた。

 わが国の骨粗鬆症治療ガイドラインでは、臨床データの乏しさから、骨粗鬆症治療薬の併用療法は推奨されていない。しかし、実際の臨床現場では、効果の増強を狙って複数の薬剤が併用されるケースが多く、こうした併用療法に対する臨床データが待たれていた。

 小林氏らは、臨床現場で併用されることの多い、1.ビタミンD製剤、2.ビタミンK製剤、3.ビス製剤−−の3種類の骨粗鬆症薬について、原発性骨粗鬆症患者を対象とした無作為試験を実施。単剤投与の3群(ビタミンD群、ビタミンK群、ビス製剤群)と2剤併用の3群(ビタミンD+ビタミンK群、ビス製剤+ビタミンD群、ビス製剤+ビタミンK群)の、計6群に患者を無作為に割り付け、骨密度などの変化を調べた。

 今回発表された臨床成績は、これらの患者に成人病診療研究所における独自症例と無治療群を追加して、最終的に無治療群を含む7群間で臨床成績を比較したもの。臨床試験の参加者の平均年齢は約67歳で、およそ4割が過去に骨折したことがある。参加者の総数や、うち何割が成人病診療研究所由来の患者なのかは、今回の発表では明らかにしていない。主要な検討項目は、1.腰椎の骨密度変化率、2.新規の骨折発生率、3.骨吸収を反映する骨代謝マーカーである、尿中デオキシピリジノリン(DPD)の変化率−−の三つとした。

骨密度や骨折予防の観点から、ビス製剤+DまたはKは“有利”、D+Kは“不利”
 
 今回の検討で明らかになったのは、ビタミンDとビタミンKの2剤併用は、介入後2年が経過した時点でも、骨粗鬆症の治療という観点から比較的“不利”な組み合わせだということ。骨密度の変化率は無治療の場合と変わらず、新規骨折の発生率も、2年後は無治療群と有意差が見られなかった。この骨折率は、ビス製剤の単剤投与や、ビス製剤とビタミンDやビタミンKを併用したケースよりも高かった。

 一方、ビス製剤とビタミンDまたはビタミンKを併用した場合は、無治療や他の治療群よりも骨密度が増加しており、新規の骨折率は低くなることがわかった。

 ビタミンDとビタミンKの併用療法については、専門医の間でも評価が分かれているが、小林氏は「今回の結果からは、明確な治療効果は見られない」と指摘した。ビス製剤とビタミンDの併用療法は、他の臨床試験でも骨量減少の改善効果などが報告されており、今回の結果はこの2剤の併用療法の有用性を再確認するものとなった。一方、ビス製剤とビタミンKの併用療法に関しては、これまで基礎・臨床面のエビデンスがほとんど報告されておらず、小林氏は「(両者の組み合わせが有用という)今回の結果が臨床的には初めてのものとなる」と述べた。

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