2001.07.15

【臨床運動療法研究会速報】 CABG後の不眠、心拍数減衰応答の低下との関連が示唆

 冠動脈バイパス術(CABG)を受けた患者は、不眠を訴えることが多い。この不眠に心拍数減衰応答の低下が関与しているとする研究結果が、7月14日の一般口演で発表された。睡眠不足下では、自律神経やストレスホルモンの反応性が低下し、不整脈を起こすリスクが高くなると考えられている。心疾患患者を対象に、心臓リハビリテーションを行う医療施設が増えているが、CABGを受けた患者に運動指導を行う際は注意が必要となりそうだ。

 この研究を行ったのは、埼玉医科大学リハビリテーション科の佐藤真治氏ら。佐藤氏らは、CABGを受けた70歳以下の狭心症患者9人に対し、手術2週間後に睡眠状態に関するアンケート調査を実施。同時に、運動負荷試験を行って、運動終了後の心拍数減衰応答を測定した。

 アンケート調査では、睡眠状態に関する「眠気」「入眠」「夢見」「疲労回復」「睡眠時間」の5項目を調査。その結果、CABG後患者では、「夢見」以外の4項目で60〜70歳の健常者の標準値を下回っていることが明らかになった。

 一方の心拍数減衰応答は、運動終了後30秒間の心拍数減衰課程の時定数であるT30で評価した。運動中は副交感神経が抑制されており、運動を止めると副交感神経の再興奮が起こる。それを反映する数値がT30で、自律神経の反応性調節機能を反映している。この数値が大きいほど「自律神経の調整機能が落ちている」と見なせる。

 CABGを受けた患者9人では、T30の平均値が486.3秒となった。同年代の健常者のT30は100〜150秒程度であり、CABG後の患者では自律神経の調節機能が低下していることが判明した。

 佐藤氏らの検討では、睡眠状態のうち特に睡眠時間には、T30と負の相関があることが明らかになっている。このことから佐藤氏は、「睡眠時間が短いと感じている患者では、運動終了後の自律神経の反応性調節機能が低下している恐れがある」と指摘。「CABGを受けた患者に運動指導を行う場合は、心事故を予防する意味でも、整理運動(クールダウン)を十分に行うなどの配慮が必要ではないか」と述べた。

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