2001.07.12

【日本DDS学会速報】 塩酸イリノテカン、微粒子製剤化で癌モデルマウスの生存率が延長

 八王子消化器病院薬剤部長の町田昌明氏らは、抗癌剤の塩酸イリノテカン(商品名:カンプト、トポテシン)の微粒子製剤を調整。同薬の微粒子製剤を用いると、そのまま投与した場合よりも、抗腫瘍効果が高まることを動物実験で見出した。町田氏らはこの研究成果を、7月12日にポスター発表した。

 薬を微粒子製剤化すると、粒子のサイズによって、薬剤の体内動態が変わる。特に、直径が100〜150nmの「ナノパーティクル」は、血管を通って癌細胞に入るが、リンパ腺を通って出て行きにくい大きさで、癌細胞への集積性が高いことが期待されている。

 町田氏らは、ポリ乳酸(PLA)を基剤に、ポロキサマーで表面を修飾して、塩酸イリノテカンのナノパーティクル製剤を調整。ラットや2系統の癌モデルマウスを用いて、血中滞留性や抗腫瘍効果などについて調べた。

 ラットの頚動脈から同薬を投与した場合、塩酸イリノテカン単体では血中濃度が8時間後で10分の1以下にまで下がるのに対し、塩酸イリノテカンのナノパーティクル製剤では8時間後以降も高い血中濃度を示していた。

 癌のモデルマウスを用いた検討では、20日後の腫瘍のサイズが、塩酸イリノテカン単体では30倍になったのに対し、ナノパーティクル製剤では10倍以下だった。マウス5匹ずつを用いた検討では、最も長生きしたマウスの生存期間が、ナノパーティクル製剤では塩酸イリノテカン単体よりも12日長かったという(20日対32日)。

 ただし、塩酸イリノテカンで臨床上問題となることの多い消化器系の副作用については、はっきりした結果が得られなかった。これは、ナノパーティクル製剤の安定的な調整が難しく、塩酸イリノテカンの標準的な投与量(体重1kgあたり150mg)を投与するだけの量が得られなかったためだという。「今回の検討における投与量は60mg/kgと少なく、下痢や体重減少などが定量できなかった」と町田氏は言う。

 町田氏らは今後、基剤を変えるなどの方法で、ナノパーティクル製剤の効率的な調整法について研究を進める。また、粒子径を変え、肝臓など特定の臓器に対するドラッグ・デリバリー・システム(DDS)の開発も行う予定だ。

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