薬剤師道一直線

一、離れて物事を見るべし

 今年も日本薬剤師会学術大会が開かれる。10月11日と12日、滋賀県にて。テーマが「薬剤師新時代の鼓動?マザーレイクからの発信?」となっている。マザーレイクとは、もちろん「琵琶湖」のこと。日本一の大きさを誇る湖である。1000種類を超える動・植物が生息しているといわれ、まさに「母なる湖・マザーレイク」の名にふさわしい。

 この琵琶湖の名前の由来は、「楽器の琵琶と形が似ているから」というのが定説で、江戸時代中期には、既に琵琶湖と呼ばれていたという。しかし、琵琶湖のほとりに立って「この湖の形は、琵琶に似ているなあ」と思う人はいない。あくまでも、山の上などから湖全体の形を俯瞰(ふかん)したときに初めてわかることである。

 物を見たとき、アップだと何だかわからないが、少し離れたところから見ると全貌がよくわかるということは少なくない。われわれ薬剤師も、自分の働いている薬局の中にいただけではわからず、離れてみて初めてわかることがたくさんあるのではなかろうか。

 この「離れる」は、武道でいうところの「守・破・離」の「離」に当たる。「離」とはいっても、今いる薬局を辞めて、次の職場に移るという意味ではない。ましてや、自分のスキルアップや給料アップのために節操なく転職を繰り返すことでもない。

 では、薬局を離れるとは何を意味するのか。それは「違う角度や立場から、自分の仕事・薬剤師業を見てみる」ということである。客観的に自分の仕事を見て、考えることで、自分のなすべきことがはっきりしてくる。それが、薬剤師にとっての「離」の理念である。

 薬剤師道を極めるための修行は続く。ただの大きな湖が琵琶の形に見えてくるまで。まずは今秋、自分の薬局をしばし離れ、滋賀に向かおうではないか。観光ではなく、武者修行の場として。

(結城 真吾)

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