薬剤師道一直線

一、分け隔てなく患者に接せよ

 「ZOY」の意味がすぐ言える人は、相当な政治通か、もしくはオタクか。「ZOY」は麻生首相の言動を表した造語で、意味は「全部・俺が・やる」だそうである。全部俺がやる、というのはいかにも威勢がいい。よほど自分に自信があるか? もしくは周りがふがいないか? いずれにしても付いていく者(この場合は国民か)は大変である。
 ところで、薬剤師としての「ZOY」とはいかがなものであろうか。薬剤師が数十人いて1日の患者数が数百人という大型調剤薬局で、「全部俺がやる」は物理的に無理な話である。一方、一人薬剤師の薬局では、「全部俺がやる」というより「全部一人でやらなくてはならない」ので意味合いが違ってくる。
 しかし、本当の意味で薬局・薬剤師に「ZOY」は存在しない。なぜなら、そこに患者さんがいるから、「全部俺が──」の独り善がりな考えは通用しないのである。
 それよりも薬剤師の中には、「全部俺がやる」の真逆、つまり「できれば面倒なことはやりたくない」と考える人の方が多いのではなかろうか。例えば、話が長そうな人や、ややこしそうな人への投薬、服薬指導などについて「後々薬歴記載が大変そうだし、誰か別の薬剤師が担当してくれないかなぁ」などと思っているようでは薬剤師失格である。
 薬剤師道を極めんとする者であれば、いや薬剤師であれば、いついかなるときも、相手が誰であろうとも、分け隔てなく、慈しみの心を持って患者さんに接しなくてはならない。それも粛々と、かつ淡々とである。
 これは簡単なようで、実は非常に難しい。人間であれば、どうしても好き嫌いが出て、得手不得手ができてしまう。心が折れそうになってしまう。そこを踏みとどまった者こそが、真の「ZOY」──「絶対・折れない・薬剤師」となるのである。ん? これではただの頑固者だって?

(結城 真吾)

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