薬剤師道一直線

一、いつも患者のそばに立つべし

 「風が吹けば桶屋がもうかる」のエピソードを踏まえて、「ロングヘアがはやれば牛丼が98円になる」を定義せよ──。
 ある大手ネット会社の採用試験の一部である。「風が吹けば桶屋がもうかる」は江戸時代の落語の話だが、この会社の採用担当者は至ってまじめ。本気で、上の問題の答えによって採用者を決めたそうである。一見何の関係もないように思える二つの事柄を結び付ける論理展開を導き出すには、理論に裏打ちされた推理力と構成力が必要となる。その力を問うたのであろう。
 さて、実は薬剤師も、「何の関係もないように思える二つの事柄」に日ごろから悩まされている。そう、処方せんの内容と患者さんの訴えである。特に「副作用ではないか」という訴えで、これに出合いやすい。目薬を差したら足がむくんだ、漢方薬を飲んだら背が縮んだ、軟膏を塗ったら物忘れが激しくなった……などなど。一見、両者は全く関係がないように思えるが、実はその間にはさまざまな事情があって、結果として信じられないようなことが起きる。巡りめぐって結果そうなる例が少なくないのである。
 薬剤師道を極めんとする者であれば、目の前にあることだけにとらわれず、背景にあるもの、経緯、経過を熟慮して答えを導き出さねばならない。ありとあらゆる可能性を排除せず、自らの思い込み、常識にとらわれず、患者さんの話を真摯(しんし)に受け止めることから始めなくてはいけない。
 ここで一番大切なことは、患者さんを信じ通すという信念であり、常に患者側に立つというスタンスである。それこそが、いつも患者のそばにいる、地域医療を担う薬剤師の姿ではないだろうか。10月12〜13日に宮崎市で開催される第41回日本薬剤師会学術大会のメーンテーマは「地域医療に生きる──いつも誰かのそばに」である。

(結城 真吾)

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