薬剤師道一直線

一、最高責任者として行動せよ

 1947年9月9日、山口県岩国市生まれの60歳。早稲田大学法学部卒。特技は英語、趣味は仕事。1970年に大手電機メーカーの初芝電産に入社し、このたび社長に就任した日本一有名なサラリーマンといえば──。そう、「島耕作」である。
 講談社の漫画週刊誌『モーニング』に連載されていた「課長・島耕作」が、とうとう「社長・島耕作」になった。社長とは、言わずと知れた会社の最高責任者。では、薬局内における最高責任者とは──もちろん薬局長である。管理薬剤師を兼ねる場合も多い。
 島耕作が入社してから社長になるまでに、38年の歳月が流れた。初芝電産は大企業なので、それくらいかかるのは当然といえる。これに対し、薬剤師が入局してから薬局長になるまで38年もかかる例は皆無であろう。それどころか、卒後間もない薬剤師であっても、入局後1年もたたないうちに管理薬剤師となり、薬局長になってしまう場合もある。
 片や38年、片や1年で最高責任者。しかし薬剤師の場合は、それでよいのである。というよりも、それでよいように本人が鍛錬し、周りも支えなければならないのである。
 一般のサラリーマンと薬剤師の決定的な違いは、薬剤師は国家資格を取ったその時点から、「国民の健康な生活を確保する」という約束を国と結ぶことにある。国民に対して、逃げも隠れもできない最高レベルでの責任を負う、すなわち最高責任者としての行動が求められるのである。
 ひとたび患者さんの前に立てば、その薬剤師は患者さんに対して全責任を負う。だからこそ、自分の姓名が刻まれた調剤印を押せるのである。これが社長の決裁印と同等の、いやそれ以上の責任ある印なのである。
 ちなみに島耕作は、社長になってからも相変わらずモテモテである。ああ、「薬剤師・島耕作」が読みたいなあ……。

(結城 真吾)

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