薬剤師道一直線

一、薬は奇しきものと心得よ

 武士の魂が刀ならば、薬剤師の魂はやはり薬であろう。薬がなければ何も始まらない。薬があって初めて薬剤師が存在する。
 では、武士が刀を大事にするように、薬剤師は薬を大事に扱っているであろうか。
 そもそも武士が刀を持つことには、単に武器を携える以上の意味がある。一つは、危険な武器を扱うことに対する責任感を持つということ。また、刀そのものにふさわしい、誇り高き振る舞いを行わんとする自尊心を持つことといえよう。むろん、刀を作り出す職人への敬意もそこには必要とされる。こうした責任感や自尊心、他者への敬意は、薬剤師も薬を扱う上で非常に重要なものである。
 ところで、薬の語源は「奇(くす)し」からきているという。奇しとは、「人知では計り知ることができないほど優れている。滅多にない。有ることが難しい。有り難い」を意味する言葉である。では、その有り難い薬を、もう一度言うが、薬剤師は本当に大事に扱っているであろうか。
 薬をまたいだり、足で移動させたり、放り投げたりするのは論外である。期限切れの薬も、最後の敬意を払って廃棄すべきである。
 患者さんに薬を渡すときに、薬剤師が最後にしなければならないこと──それは、うわべの「お大事に」を言うことではない。本当に大事に扱ってきたこの有り難い薬が、どうか効きますように、役に立ちますように、人知を超えた力を発揮しますように、そして患者さんが幸せになりますように──と願いを込めることである。それはまるで、子供の旅立ちを見送る親と同じように。
 そこまで真摯(しんし)に、謙虚に、そして愛情を持って薬と接していればこそ、薬剤師道を極めることができるのである。さあ、薬と向かい合おう! そうすればきっと、薬はあなたに「クスリ」とほほ笑んでくれるはずである。

(結城 真吾)

ログインしていません

日経DI最新号のご案内

日経DI最新号のご案内 “調剤薬局”でOTC薬を売る

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

  1. 「見て盗む」、その根底にあるものとは 熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」 FBシェア数:38
  2. 在宅から撤退する薬局・薬剤師のパターンとは 狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」 FBシェア数:228
  3. 頻度が低くても、その患者にとっては常に100% Inside Outside FBシェア数:48
  4. 薬局の説明で心配になったと医師に話した患者 船見正範の「キラメキ!ひたむき!管理薬剤師ダイアリー」 FBシェア数:33
  5. 小田原の薬局、薬剤師不在の調剤で業務停止 トレンド(DIオンライン)
  6. エカードとユニシアの併用処方は何が問題? セキララ告白!個別指導
  7. 慢性副鼻腔炎への漢方処方 幸井俊高の「漢方薬 de コンシェルジュ」
  8. 江戸の敵を長崎で討つ! 薬局経営者奮戦記〜社長はつらいよ
  9. 武田テバ、53成分103品目を販売中止 安定供給が困難と判断、2018年3月末まで
  10. 「タケプロンによる下痢」に気付かず3カ月放置 澤田教授の「育薬」道場