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腫瘍マーカーは検診、発見、経過観察でどう使われる?

<質問>

腫瘍マーカーは大腸がんの検診、発見、経過観察にどのように使われているのですか。

<回答者>Robert Mayer氏、医師

Dana-Farberがん研究所腫瘍内科・学術担当副責任者、Brigham and Women's病院上級医師、Massachusetts総合病院医師、Harvard大学医学部教授

 がんの発達と相関して血液中に現れる物質(通常はタンパク質)があります。血液中のこのタンパク質の増減は、その患者さんのがんの広がりと相関しています。「腫瘍マーカー」という用語は、このようなタンパク質の測定値を示すときに使われます。ある腫瘍マーカーが、あるがんについて完全に特異的である場合、つまり、そのがんがない人には決して現れない場合に、その腫瘍マーカーをそのがんの検診・発見・経過観察に使うことができます。

 残念ながら、そのような理想的な腫瘍マーカーはまだ見つかっておらず、今のところ唯一可能性があるのはヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG;妊娠検査の時に測定されるタンパク質ですが、女性では胎盤、男性では精巣に生じる絨毛がんというまれながんでも検出されます)です。現在利用されている各種の腫瘍マーカーは、良性疾患でも値が上昇したり、がんが転移するまで値が上昇しなかったり、がんの広がりと血中濃度が相関しなかったりするという欠点があります。

 大腸がんの診察で最も多く用いられている腫瘍マーカーはがん胎児性抗原(CEA)です。CEAは通常でも腸の上皮細胞や、気管支、乳腺などに低濃度でみられるタンパク質で、大腸炎や気管支炎などでこれらの組織に炎症が起きると、CEAの値が上昇することがあります。大腸がんのほとんど(ただし全てではありません)はCEAを産生します。大腸がんは腸の上皮から生じるので、これは当然といえます。

 しかし、手術で治癒できる段階の大腸がんのほとんどで、術前のCEAは正常値です。こうした患者さんで術前CEA値が高い場合は、たとえ手術後に正常値まで下がっても、予後がよくないことが知られています。CEAが上昇することが最も多いのは、大腸がんが肝臓に転移したときです。興味深い点として、大腸がんが肺など肝臓以外の臓器に転移したときのCEA上昇はそれほど一定していません。

 がんの専門家は通常、大腸がんを手術で切除してから最初の数年間は3〜4カ月おきにCEAを測定します。CEA値の経時的な上昇は、他の血液検査やCT像すら正常で、特に症状がなくても、再発の最初の徴候であることが多いからです。そのような場合、普及しつつある画像検査法であるPETによって、他の検査方法では検出できない小さな腫瘍を発見し、手術で切除して治癒できる可能性もあります。転移性大腸がんではCEAが上昇することが多く、化学療法や放射線治療で効果が得られれば正常値近くまで下がりますが、治療に反応していない場合はさらに上昇が続きます。

 最近では、大腸がん細胞の特定の染色体の変化(変異)と関連する分子異常を検出するというアプローチから、便DNA検査が研究されています。これは、大腸がんリスクのある人の便を採取し、便中に含まれる細胞から遺伝子成分(DNA)を抽出し、特定の変異の有無を調べるというものです。このアプローチがうまくゆくことが示されれば、大腸がん検診に非常に役立つ新しいタイプの腫瘍マーカーとして利用できるでしょう。とはいえ、研究の結論が出るのはもう少し先になりそうです。

(監修:岡山大学医学部 松岡 順治)

This discussion was originally presented on March 22, 2006 on www.plwc.org
この内容は、2006年3月22日に、米臨床腫瘍学会の患者向けサイト People Living With Cancer に掲載されたものです。

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2008年1月 8日