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<質問>

薬剤によるがん予防は大腸がんでどのような役割を果たすでしょうか。

<回答者>Robert Mayer氏、医師

Dana-Farberがん研究所腫瘍内科・学術担当副責任者、Brigham and Women's病院上級医師、Massachusetts総合病院医師、Harvard大学医学部教授

 「がん予防薬」とは、経口薬の服用によって大腸がんを予防できるかもしれないという考え方を示したものです。がんが生じる数年前にまずポリープができますが、がん予防薬はこのポリープを減らすことを狙いとしています。

 一般的に、大腸がんの予防薬として最も有効性が高いのは、アスピリンを何年にもわたって定期的に服用することだと考えられています。アスピリンは冠動脈疾患の発症率も下げることが知られており、被験者をアスピリン服用群とプラセボ(偽薬)服用群に無作為に分けた複数の研究で、心疾患だけでなく大腸がんの発生件数も低かったことが報告されています。アスピリンは、正常な腸の上皮細胞中に存在するシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)という酵素を阻害すると考えられています。上皮細胞が分裂・増殖すると、時としてポリープとなりさらにはがん化することがあります。COX-2は、この上皮細胞が分裂・増殖する経路に関わっている酵素です。

 現時点でのデータによれば、毎週数回、定期的にアスピリンを服用するのが最適なようです。また、アスピリンを10年あるいはそれ以上にわたって服用しないと、明確ながん予防効果は現れません。イブプロフェンやナプロシン(国内未承認)など、アスピリンと類縁の薬(いわゆる非ステロイド性抗炎症薬、NSAIDs)にも同様の効果があるのではないかと言われています。

 アスピリンもNSAIDsも胃を刺激して出血を引き起こすことがあるため、出血を起こしにくいよう薬剤の改良が行われました。過去に大腸ポリープ切除を受けた人を対象に、こうした新しい薬(セレコキシブ、ロフェコキシブ)によってポリープ再発が減少するかを調べる試験が行われています。ただし、すでに広く発表されているように、セレコキシブもロフェコキシブ(国内未承認)もごく一部の患者さんで心臓毒性を示すと考えられており、大腸がんの予防薬として使うべきではありません。

 このほか、化学物質による大腸がんの予防法としては、葉酸摂取量の増加、カルシウム摂取量の増加、ビタミンDの増加などが研究されています。葉酸とカルシウムについては、大腸がん予防に必要とされる量がほとんどの複合ビタミン剤に含まれています。ビタミンDについては、大腸がん予防に有効な水準まで増やすにはどうするのが最も良いか、研究が続けられています。

(監修:岡山大学医学部 松岡 順治)

※編集部注釈 アスピリンによる大腸がんの再発抑制効果については、国内でも検証されている最中であり、アスピリンが副作用のデメリットに勝る再発抑制効果を持つかどうかは臨床試験の結果を待つ必要があります。

関連記事 アスピリンによる大腸がん予防試験がまもなく開始

 

This discussion was originally presented on March 08, 2006 on www.plwc.org
この内容は、2006年3月8日に、米臨床腫瘍学会の患者向けサイト People Living With Cancer に掲載されたものです。

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2007年12月18日