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バーチャル大腸内視鏡(仮想大腸内視鏡)とはどんなもの?

<質問>

バーチャル大腸内視鏡の臨床試験が進行中だと聞きました。これは患者にとって有益ですか。

<回答者>Robert Mayer氏、医師

Dana-Farberがん研究所腫瘍内科・学術担当副責任者、Brigham and Women's病院上級医師、Massachusetts総合病院医師、Harvard大学医学部教授

 2006年の現時点で、大腸がん検診の標準的な方法は内視鏡検査だとされています。内視鏡検査では下剤を使って大腸(結腸および直腸)内の便を排出したうえで、光ファイバーのチューブを直腸から挿入し、大腸内でチューブを進めながら前がん状態のポリープやがんを発見します。検査に要する時間は30分程度ですが、実際に受けた人のほとんどは、検査そのものよりも、下剤で腸をきれいにする「前処置」のほうに強い不快感を覚えるようです。この前処置の不快感や、内視鏡チューブを挿入することに対する抵抗感から、大腸がん検診をためらう人も少なくありません。

 より抵抗感が少なくかつ簡単な検診方法で大腸全体を観察できるよう、バーチャル大腸内視鏡(仮想大腸内視鏡)という技術が開発されました。これは、直腸にチューブを入れる代わりにCTスキャンを使って大腸を描出するというもので、熟練した放射線科医が行えば、大腸がんの検診方法として従来の大腸内視鏡と同程度に有効であるとされています。

 ただし、これまでの研究報告によれば、この検査を熟知していない放射線科医が行った場合は、精度が従来の大腸内視鏡の50〜60%しかありません。さらに、バーチャル大腸内視鏡を確実に行うには、従来の内視鏡検査と同様に下剤を使う必要があり、いずれの検診方法でも前処置が不快であることに変わりはありません。また、従来の大腸内視鏡が診断と治療の両方に使えるのに対して、バーチャル大腸内視鏡は純粋に診断だけを行う検査法です。つまり、腸の異常は発見できますが、実際に発見された場合には生検やポリープ切除を行うために従来の大腸内視鏡が必要になります。

 大腸がん検診の技術は進歩を続けています。まれな家族性の症候群がある場合を除いて、50歳から検診を受けるべきでしょう。ごく最近まで、検診を受けるべき年齢に達していて実際に何らかの検診を受けた人は40%未満しかいませんでした。啓発運動、そして特にさまざまな有名人の呼びかけによって、大腸がん検診を受けるアメリカ人の割合は増えつつあります。今のところ大腸内視鏡が標準的な方法ですが、大便中のDNAを検査してがん特有の変異の有無を調べる検診方法も検討されています。

 また、下剤を使わずにバーチャル大腸内視鏡を行えるよう、大便成分と腸組織を識別するソフトウェアの開発も行われています。現時点で重要な点として、どのような検診方法であっても検診を受けないよりはよいということ、そしてマンモグラフィ、子宮がん検診、血圧測定やコレステロール検査と同じように、通常の健康管理のひとつとして定期的な大腸がん検診を受けることを覚えておいていただきたいと思います。

(監修:岡山大学医学部 松岡 順治)

This discussion was originally presented on March 01, 2006 on www.plwc.org
この内容は、2006年3月1日に、米臨床腫瘍学会の患者向けサイト People Living With Cancer に掲載されたものです。

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2007年12月11日