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超高齢者でも大腸がん術後の化学療法を受けるべき?

<質問>

93歳になる私の父は大腸がんと診断され、大腸の一部を切除する手術を受けました。医師からは化学療法を開始するよう勧められていますが、私も兄弟もこの年齢の父に治療を受けさせるべきかどうか、ためらいがあります。高齢患者の治療で考慮すべきことがあれば教えてください。また、今後がんが進行するとどうなるでしょうか。

<回答者>Robert Mayer氏、医師

Dana-Farberがん研究所腫瘍内科・学術担当副責任者、Brigham and Women's病院上級医師、Massachusetts総合病院医師、Harvard大学医学部教授

 手術によって腫瘍を完全に切除できた人、特にステージ3などがん細胞が局所リンパ節に広がっている人では、術後に化学療法を行う補助化学療法によって治癒率が明らかに向上します。以前は、高齢者(特に80歳以上の人)に対してこのような治療を行うことの安全性やメリットについて、多くの医師、そして患者さんや家族が懸念を示していました。この懸念はもっともなことです。

 しかし、ここ数年に発表された複数の研究で、フルオロウラシル(商品名「5-FU」)/ロイコボリンなどの補助化学療法を行った場合の抗腫瘍効果は若年者でも高齢者でも同様であることが報告されました。また最近では、2006年の消化器がんシンポジウムで、新しい化学療法であるFOLFOX(5-フルオロウラシル/ロイコボリンにオキサリプラチンを追加する方法)もやはり年齢に関係なく結果が良好であると発表されました。

 ただし、こうした有望な報告があるからといって、すべての患者さんにこのような治療を行ってよいわけではありません。若年者と高齢者で結果が同様であったというこれらのデータは、臨床試験に参加した人、つまり大腸がん患者さんの中でも比較的健康状態が良い人の記録に基づくものです。5-フルオロウラシル/ロイコボリン療法は重度の下痢を引き起こすことがあるので、大腸炎などの腸管機能障害がある高齢者には(そして多くの場合は若年者でも)、賢明な治療選択肢とはいえません。

 また、FOLFOX法の主要薬剤であるオキサリプラチンは末梢ニューロパシーを引き起こすことが多く、神経障害や糖尿病のある人は避けるべきでしょう。したがって、健康状態の良好な93歳の患者さんに対して延命的な化学療法を行わない理由はありませんが、そうした治療のメリットがリスクを上回るか否かという医学的判断が何にもまして重要です。

(監修:岡山大学医学部 松岡 順治)

※監修者注釈
 高齢者に対する補助化学療法を安全に行うためには、経験豊富ながん治療の専門医の関与が不可欠です。そのため、医療機関のレベルにより、高齢者に対する補助化学療法の安全性には差があることを理解しておくことが肝要でしょう。

This discussion was originally presented on March 01, 2006 on www.plwc.org
この内容は、2006年3月1日に、米臨床腫瘍学会の患者向けサイト People Living With Cancer に掲載されたものです。

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2007年12月11日