このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん
疲労感から運動できない

<質問>

以前はいつも早起きをして運動していたのに、最近は非常に疲れてしまうのです。このような疲労感を克服して以前のように運動できる生活に戻るにはどうしたらいいでしょうか。

<回答者>Susan Leigh氏、正看護士

看護学士、がんサバイバーコンサルタント、米国国立がん研究所科学コンサルタント委員会患者代理人、全国がんサバイバー連合創設者・元会長、がん看護協会所属。

 あなたのがん治療はまだ続いているのですか、それとも終了したのでしょうか。終了したのだとすれば、どのくらい前に終ったのでしょうか。適切な答えをするためにも、知りたかったのですが。

 今回、私は、あなたが化学療法、放射線療法、あるいはその両方の治療を受け、回復期にあると仮定してお答えします。そこで、まず、がん治療中に生じる疲労感について話をし、その後、がん治療終了後に生じる長く続く疲労感について説明します。

 疲労感というのは、がん治療の副作用としてよく知られている吐き気や痛みよりも、さらによく起こる一般的な副作用です。がん治療のいずれかの時点で、患者の90%がこのような疲労感を覚えるというデータがあります。そして、その疲労感は、治療が一段落して終った後にも、消え去るとは限らないのです。がん治療(手術、侵襲的な検査、化学療法、放射線療法、ときには生物学的療法)の最中、私たちの身体は集中攻撃を受けているようなものです。その間には、とてつもなく大きな不安やストレスが蓄積し、複合的に患者に襲いかかってくるのです。

 例えば、骨髄移植、放射線治療後に化学療法を行うような治療、繰り返し長期間受けなければならない治療など、複雑で高度な治療に伴う疲労感は、一般的に通常よりも重篤で回復に長時間を要すると考えられています。

 Wendy Harpham氏の著書「After Cancer: A Guide to Your New Life」のなかでこの疲労感の問題について触れています。Aftereffects of Cancerという章で、疲労をinvisible wound(目に見えない傷)と呼び、疲労を引き起こす多くの原因について解説しています。

 原因には、薬物(鎮痛剤、睡眠改善薬、血圧に関する薬、抗うつ剤)、がん治療によって引き起こされる貧血(赤血球の減少)、がん治療に伴う体内の化学物質のバランスの崩れ、ホルモンバランスの乱れ(早期の閉経、甲状腺機能障害)、がん治療によって身体の組織や臓器がダメージを受けること、肺における問題(呼吸困難)、感染症、うつや不安のような精神的な要因、栄養不良、睡眠障害、不適切な運動による体力の低下、カフェイン・アルコール・ニコチンの摂取——、などが挙げられています。

 先ほど挙げた疲労の原因のリストを念頭において考えれば、あなたが疲労を感じる理由を肉体的・心理的に確実に評価する必要性があることがわかりますね。こうした評価を行うには、血液検査、X線検査、その他の診断のための検査、がんやその他の疾病を含むあなたの病歴の調査、治療後も長期間続いたり遅れて現れる医療行為の影響を特定すること、日常的な運動・食事・睡眠パターンの把握……、などを実施しなければなりません。摂取している補助食品を含む薬物、疲労感のレベルを変化させる出来事、その時の心理的な健康状態を調べなければなりません。これらを通して、医師やあなた自身が、疲労につながる原因の特定とそれを回避する行動計画をつかむことが出来ることが望まれます。

 科学的にも運動は、がん治療とがんのリハビリに対して効果があるとするエビデンスが示されています。Scott HamiltonやLance Armstrongといったアスリートが運動の重要性を社会に浸透させたように、がんの研究者らは、運動ががんケアの1つの手段となり得るというエビデンスを探しています。がん経験者であるAnna Schwarz氏は、「Caner Fitness: Exercise Programs for Patients and Survivors」という本を著しています。

 そのなかで、それまでの健康レベルがどの程度であったとしても、フィットネスのレベルを向上させることができる安全なプランを示しています。個人個人に適した運動レベルを見つける必要性にも触れていますし、食事、症状のコントロール、目指すべきゴールの設定の仕方についても言及しています。彼女の理論は全て科学的根拠に基づいています。

 もうひとつ、お勧めできる運動の本は「The Spirited Walker: Fitness Walking for Clarity, Balance, and Spiritual Connection」(Carolyn Scott Kortge著)です。この著者もまた、がんの治療を経験しており、元々のウォーキング・プログラムを改良して、がんを抱えている人々やがんの後遺症に悩む人々のために独自のプログラムを作っています。彼女は、体力のレベルに合わせて、それぞれのレベルに向くウォーキングの方法が必要だと述べています。イメージ、呼吸法、自己肯定が、彼女のプログラムに含まれています。

 こうした文献によって、あなたがエネルギッシュなあなたに戻られることを願っております。ただし、1つ覚えておいていただきたいのは、がん患者の中には元々の体力レベルに完全には戻れない人がいるということです。しかし、今までで一番良好なコンディションになることができる方法を、あなたは見つけ出すことができると思います。

 (監修:桃山学院大学社会学部社会福祉学科教授 伊藤 高章)

 

This discussion was originally presented on December 29, 2006 on www.plwc.org
この内容は、2006年12月29日に、米臨床腫瘍学会の患者向けサイトPeople Living With Cancerに掲載されたものです。

チームオンコロジー.Comは、患者さんと医療者、またご家族とのコミュニケーションの話題を中心に意見を交換する場(掲示板「チームオンコロジー」)を設けております。上記の内容について、ご質問ご意見がある場合は、この掲示板をご利用ください。

2007年5月 8日