肝がんとともに

肝がんが気になる方へ

肝がんとは

 肝臓は“沈黙の臓器”と言われるように、再生能力が強く、肝がんの初期に患者自身が自覚できる症状はほとんどありません。各地の自治体や職場の検診で肝炎ウイルス検査を行っているため、まず慢性肝炎が見つかり、その後の定期検査や治療の過程で肝がんが見つかることが多くなっています。また、他の病気の検査で、偶然肝がんが発見されることも少なくありません。

 このように、肝がんは早期発見が難しいがんの一つとされています。ただし、肝臓の機能が低下していくのに伴い、疲れやすい、身体がだるい、食欲がない――などの症状が出てくることもあります。

 慢性肝炎からさらに症状が進んだ肝硬変では、皮膚や眼球の白目の部分が黄色っぽくなる「黄疸」、尿の色が濃い茶色になる、便秘や下痢などの便通異常、お腹に水がたまり全身がむくむ――といった症状がみられます。肝臓の左側にがんができてそれが大きくなった場合、みぞおちを触るとしこりのようなかたまりを感じたり、お腹が張ったように感じたりすることもあります。

 ただし、これらはいずれもかなり肝がんが進行してしまってから出てくる症状です。わが国では、保健所の委託を受けた医療機関で、無料で肝炎検査が行えるようになっています。40歳以上の方は、症状の有無にかかわらず、定期的な検査を受けて肝がんを早期に発見するよう心がけてください。

肝がんの種類
肝臓の構造
肝がんの統計


■肝がんの種類

 肝臓のがんには、大きく分けて、もともと肝臓にできる「原発性肝がん」と、他の臓器にできたがんが血液を通して肝臓へと移ってきてできる「転移性肝がん」があります(「転移性肝がん」参照)。原発性肝がんは、さらに「肝細胞がん」「肝内胆管がん」「混合型肝がん」の3種類に分けられます。肝細胞がんは肝臓を構成する肝細胞に生じるがんで、肝内胆管がんは肝臓内にある胆管に生じるがんです。混合型肝がんは、これらが混ざって存在しているがんです(「その他の肝がんについて」参照)。

 このうち、肝細胞がんが日本でみられる肝がんの大半を占めることから、一般的に「肝がん」という場合には、肝細胞がんのことを指します。当サイトでも、肝細胞がんを中心に解説していきます。

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■肝臓の構造

 肝臓は、お腹の右上部であばら骨に囲まれた、体内で最も大きな臓器です(図1)。重さは成人で約1kgあります。肝臓は、肝細胞が集まって構成された多角形の肝小葉から成っており、内部を肝動脈、門脈という2つの大きな動脈と、肝静脈が流れています。肝臓の下部には、胆汁を運ぶ胆管や胆汁を貯めておく胆嚢があります。肝臓は、有害物質を分解し、栄養素の代謝を行うなど、身体を維持し、生きていくために欠かせない働きをしています。

 肝臓は、腸管から吸収されたもしくは身体のどこかで作られた有害物質を分解して無害にし、身体から排出できる形にします。有害物質には、アルコールも含まれます。また、脂肪や脂溶性ビタミンの吸収に必要な胆汁や、ホルモン、消化酵素、タンパク質など、多くの重要な物質を作っています。さらに、消化された食べ物に含まれているさまざまな栄養素を貯蔵しやすい形に変え、分解して血液中に放出するなど、代謝という働きも担っています。

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■肝がんの統計

 肝がんは欧米に比べてアジアやアフリカに多く、また女性に比べて男性に多くみられるがんです。特に、高齢男性ではさらにリスクが高くなります。日本肝癌研究会が継続調査を行っている「第18回全国原発性肝癌追跡調査報告」(2004-2005)によれば、原発性肝癌と診断された年齢は男性66.4歳、女性69.9歳で、2002-2003年の追跡調査報告の結果(男性65.5 歳、女性69.4歳)と比べてわずかに上昇しています。

 「がんの統計‘2010年版」に掲載された、わが国の2009年の部位別がん死亡数をみると、男性では肺がん、胃がんに次いで第3位が肝がんとなっています。女性では、1〜5位が肺がん、胃がん、結腸がん、膵がん、乳がんとなっており、過去には上位にあった肝がんは相対的に少なくなっています。

 肝がんは、地域ごとに発生率に違いがあり、近畿地方以西で比較的多く、東日本では少なくなっています(図2)。


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