肝がんとともに

肝がんの治療を受ける方へ

その他の肝がんについて

 肝がんの約9割が肝細胞がんですが(「肝がんの種類」参照)、肝臓にできるがんには、ほかにも幾つか種類があります。以下に、どういったがんがあるか、治療はどのように行われるのか、紹介していきます。

肝内胆管がん
混合型肝がん
転移性肝がん


■肝内胆管がん

 肝内胆管がん(胆管細胞がん)とは、肝臓で作られた胆汁を十二指腸まで送り出す働きを持つ胆管の、肝臓内にある部分にできたがんのことです(図 3)。胆管にできるがんにはほかに「肝外胆管がん」があります。肝内胆管がんは、肝臓内の胆管細胞から発生するがんなので、肝細胞がんと一緒に肝がんとして扱われることが多く、単に「胆管がん」と言う場合には、主に肝外胆管がんを指します。


 肝内胆管がんの原因として、肝内結石症、硬化性胆管炎、先天性胆道拡張症などがありますが、最近は肝炎ウイルスも原因の一つと考えられるようになってきました。しかし、肝がんは進行するまで症状が出にくいことが特徴なので、症状が出たときにはがんが進行している場合が多くなっています。定期健診などで肝機能の異常や肝内胆管の拡張が指摘された場合には、精密検査を受けることが勧められます。

 治療法は、外科的な切除しかないのが現状です。患者の肝機能が大きく低下していることは少ないため、肝臓を広く切除する手術が行われます。がんのできた場所が肝門部に近い場合には、広範囲の肝臓と肝外胆管を同時に切除することもあります。肝臓に近いリンパ節の郭清が行われることも多いようですが、その治療効果についてはまだわかっていません。

 胆管がんに準じた化学療法が行われることもあり、最近になって有効例が少しずつ報告されてきています。

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■混合型肝がん

 混合型肝がんとは、同じがんの内部に、肝細胞がんと肝内胆管がん成分が混在していることを指します。肝細胞がんと肝内胆管がんが離れた場所にある場合には、重複がんとして扱います。原発性肝がんの中では、非常にまれながんであると言えます。

 患者数が少ないことなどから、まだ治療法が確立されているとは言い難い状況です。行われている治療は手術が主体で、このほか、全身化学療法、肝動脈化学塞栓療法が行われています。

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■転移性肝がん

 肝臓は血流が豊富なため、大腸、胃、膵臓など別の場所で発生したがんが転移しやすい臓器です。特に、大腸がんや胃がんなどの消化器系のがんが門脈を通って肝臓に転移することが多く、肺がんや乳がん、卵巣がん、腎がん、頭頸部がんなどからも転移します。

 このように肝臓に転移したがんのことを転移性肝がんといい、大腸がんの肝転移、肺がんの肝転移などと呼ぶこともあります。転移性肝がんと肝がん(原発性肝がん)は異なるため、治療法が異なっています。

 転移性肝がんの治療は、基本的には、最初にできた元のがん(原発巣)、すなわち大腸がんや肺がんなどで行われている治療に準じて行われます。原発巣の病状が落ち着いていて、転移したがん(転移巣)が小さく、肝臓以外に転移がない場合は、手術による肝切除が行われることもあります。手術では根治が期待できない場合あるいは患者さんが肝切除を希望しない場合は、化学療法やラジオ波焼灼療法などが行われます。多くは生存率が低く、治療が困難ながんとされています。

 肝切除ができる場合

 大腸がんの肝転移では、切除が可能であれば、肝切除が治療の第一選択とされています。転移巣が肝臓だけにとどまっている場合には、肝切除で根治が可能であることがわかってきたためです。たとえ切除が難しいと判断された肝転移でも、フルオロウラシル(5-FU)やオキサリプラチン、イリノテカンなどの化学療法でがんが小さくなり、手術が可能になることもあります。また、肝転移巣に対して肝切除を行った後に再発した場合も、切除が可能であれば、肝切除を行ったほうが生命予後が良いといわれています。

 肝切除だけでは症状の改善が見られないとき、あるいは切除後の再発予防のために、全身化学療法や肝動注化学療法、あるいはラジオ波焼灼療法などが行われることもあります。

 肝切除は、胃がんや乳がんの一部、あるいはカルチノイドなどの神経内分泌腫瘍でも有用であると言われていますが、肺がんや膵がん、胆道がんでは、診断したときに進行しているケースが多く、切除が難しいことがほとんどです。こうした場合には、化学療法を中心とした治療が行われます。

 肝切除ができない場合

 転移巣が肝臓以外にも広がっている場合は、抗がん剤が全身に行き渡る全身化学療法が行われます。転移が肝臓内だけにあるときは、肝動脈に抗がん剤を注入する肝動注化学療法やラジオ波焼灼療法を行うこともあります。これまで、肝動注化学療法の方が全身化学療法よりも奏効率が高いとされてきましたが、最近の治療薬の開発や治療方法の工夫により、全身化学療法の有効性が高まっています。

 一般的に、化学療法では原発巣に使用する薬剤が使われます。例えば、大腸がんではFOLFOX療法(5-FU、 ロイコボリン、オキサリプラチン)やFOLFIRI療法(5-FU、 ロイコボリン、イリノテカン)などが、胃がんでは5-FU系薬剤やイリノテカン、シスプラチンなどの併用で効果が期待されています。最近では、分子標的薬をFOLFOX療法に加えることで大腸がんの肝転移巣切除に効果が期待できることが示されています。

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