肝がんとともに

肝がんの治療を受けた方へ

肝がんの再発とは

 肝がんは、例え根治したとしても、年に15〜20%と高い割合で再発します。5年再発率は約8割にも上ります。それは、肝がんが主に肝炎ウイルスへの感染に由来する慢性肝疾患から生じるためです(「肝がんの病因とは」参照)。

 肝がんの治療自体は、肝炎ウイルスを攻撃するものではありません。ウイルスが体内に残っていた場合、再び肝がんになってしまう可能性があります。また、ウイルスが体内に残っていなくても、既に慢性肝障害を起こし、傷ついてしまった肝臓は、新たながんを起こす可能性が高いのです。肝臓は、栄養分の代謝や有害物質の解毒など、生命維持に不可欠な役割を担っており、肝臓をすべて摘出してしまうことはできません(「肝臓の構造」参照)。これも、再発率の高さに影響していると考えられます。

 再発を抑えるために、インターフェロン治療など、さまざまな治療法が試みられていますが、まだ確立された方法はありません。ただし、再発を抑制する治療と、再発を早期発見する検査の充実によって、根治的な治療が可能な段階で発見される再発肝がんが増えているようです。

肝がん治療後の定期検査
再発した肝がんの治療法


■肝がん治療後の定期検査

 早期に肝がんの再発を発見できれば、選択できる治療法が多くなり、根治の可能性も高くなります。肝がんの治療終了後も定期的に検査を受けるのは面倒かもしれませんが、できるだけ早い段階で再発を発見するためにも、きちんと検査を受けるようにしてください。

 定期検査を受ける間隔は、最初に治療した肝がんの状態にもよりますが、血液検査による腫瘍マーカーの測定と画像診断検査の組み合わせで行われます(「肝がんの検査」参照)。大体の目安としては、治療後1年間は1カ月に1回の頻度で腫瘍マーカーを測定し、可能であれば2〜3カ月に1回の超音波検査を受けるようにしましょう。

 また、超音波検査では、治療により根治した部位と新たな病変部位を見分けるのが難しいことが知られています。このため、再発が疑われた場合に随時受けることに加えて、3〜4カ月に1回は造影剤を用いたCTもしくはMRI検査を定期的に受けたほうがよいでしょう。治療から1年たった後も、3〜6カ月ごとに検査を受け、再発がないかどうかを確認してください。

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■再発した肝がんの治療法

 肝がんの再発には、肝臓内での再発である肝内再発と肝臓以外に転移した肝外再発があり、肝内再発が多くを占めます。日本肝癌研究会の「第18回全国原発性肝癌追跡調査報告」(2004-2005)では、肝外再発の部位としては、肺、骨、リンパ節の順に多いという結果でした。

 再発した肝がんの治療では、がんの大きさや個数、進行度および患者自身の肝機能に加え、再発する可能性や、初回の治療の際に癒着や胆管などの損傷が生じていないかどうかについても注意して、治療法を選択する必要があります。

 患者の肝機能に問題がないと考えられ、手術で完全にがんが切除できると判断された場合には、手術を行います(「外科的治療について」参照)。切除しなかった場合よりも、再度肝切除を行った方が、予後が良好であることがわかってきたためです。手術の前後に、肝動脈塞栓化学療法や肝動注化学療法(「内科的治療について」参照)が行われることもありますが、予後の改善につながるかどうかは、まだ明確ではありません。

 がんが完全には切除できない場合、肝臓以外の臓器にもがんが広がっている場合、患者が手術に耐えられないと判断された場合などには、手術以外の治療法を検討することになります。患者の状態に合わせて、肝動脈塞栓化学療法や化学療法が選択されます。肝臓以外の臓器に転移している際には、がんの増殖を抑える効果に加え、痛みなどの症状を和らげるという目的から、放射線療法や化学療法が行われます。

 第18回全国原発性肝癌追跡調査報告(2004-2005)では、初回の肝内再発に対する治療として、多い順に、肝動脈塞栓療法、ラジオ波焼灼療法、肝動注化学療法、エタノール注入療法が行われているという結果でした。

 一方、肝外再発に対する治療としては、治療を実施せずが最も多く、全身化学療法、放射線療法の順に行われているという結果でした。この第18回の追跡調査の対象である2004-2005年の段階では、最近承認された新しい分子標的薬であるソラフェニブがまだ承認されていなかったこともあり、肝外再発(転移)例に対して有効性を示した全身化学療法がなかったことが背景にあります。

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